2022.04.27

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【調査】札幌の狸小路…なぜ7丁目のアーケードだけ古いの?

視聴者からの疑問や悩みを調査する、HBC報道部の「もんすけ調査隊」。

札幌の20代女性から、こんな疑問が寄せられました。
「狸小路7丁目だけアーケードが古い理由を調べて欲しい」

札幌の中心部を東西に貫く「札幌狸小路商店街」。道内で最も古い商店街のひとつです。規模も最大級で、西1丁目から7丁目まで900mの長さに、およそ200の店舗が並んでいます。

その最大の特徴は、アーケード。

狸小路1丁目から6丁目は、立派なアーケードで覆われています。全蓋式(ぜんがいしき)と呼ばれるアーケードに、すっぽりと覆われ、雪の多い札幌でも、気軽に買い物が楽しめる人気の商店街です。

しかし、依頼があった7丁目に行ってみると・・・レトロな雰囲気が漂っていますね。

確かに、1丁目から6丁目までと比べると、7丁目のアーケードは、古い!…失礼、年季が入っているようにも見えます。

これは、いったい、どういうことなのでしょうか?

狸小路7丁目の町内会長、風早(かざはや)金銀店の風早康宏さんは、「1丁目から6丁目まで新しくするのであれば、7丁目もどうかってこともあったんですけど、『このままでいこうじゃないか』いうことで7丁目は決まったんですよね」と振り返ります。

狸小路商店街の歴史は古く、1869年(明治2年)、札幌市に開拓使が設置された頃…狸小路2丁目と3丁目のあたりに飲食店などが立ち並び、タヌキのように言葉巧みに誘い込んだことから、1873(明治6)年ごろ、その一角は、「狸小路」と呼ばれるようになったという。

明治45年の狸小路3丁目(札幌狸小路発展史より)

そして、1958年(昭和33年)から1960年(昭和35年)にかけて設置されたのがアーケードでした。

狸小路3丁目(1958年12月)

初代のアーケードは「丁目ごと」にデザインが異なり、その個性を競い合っていました。

そして、1982年(昭和57年)・・・。

狸小路4丁目(1982年11月)

狸小路1丁目から6丁目は、新たなアーケードが設置されました。しかし、7丁目だけは、アーケードを新しくしなかったのです。

7丁目のアーケードは、既に62年が経過している計算になりますが、なぜ、建て直さなかったのでしょうか?

風早会長は「昭和の名残りというか、レトロという感じがいいということで、7丁目まで足を運んでくれるお客様もいる」と話します。

狸小路7丁目といえば、29年の歴史を誇る中古レコード店に、1927(昭和2)年創業の由緒正しきお茶屋さん、1955(昭和30)年創業、オムライスが人気の食堂など、昭和レトロを感じる店が多くあります。そして極め付きは、1959(昭和34)年の創業の名曲喫茶ウイーンを改装した昭和酒場・ルマンド。

7丁目独特の雰囲気に、マチの人も「僕はこっち側の方が好きだから、何十年も通っているけど、その時がそのまま残ってるのが良いですね。昔懐かしいって感じ」と話していました。

昭和レトロのマチ並みには、新しいアーケードはマッチしないのです。

そして・・もちろん現実的な問題も・・・

風早会長によると、「新しく建てることにしても、各町内会ごとに銀行の融資を受けるんですけど、1丁目から6丁目のアーケードも何億っていう予算だったのは聞いている。仮に7丁目の町内会費が1mあたり5千円か6千円だとすると、やはり3倍から4倍になってしまう」といいます。

ということで、調査結果は、「昭和レトロを残したかった」から。

しかし、昭和レトロのマチにも、そろそろ限界が迫っています。

風早会長は、「建造物が昭和30年代に建てたものですから、何とか修繕しながらもたせている状態です。いずれは解体しなきゃならないという話も出ています」と話していました。

文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部IKU

※情報は番組放送時の情報に基づきます

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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