視聴者からの疑問や悩みを調査する、HBC報道部の「もんすけ調査隊」。
札幌の20代女性から、こんな疑問が寄せられました。
「狸小路7丁目だけアーケードが古い理由を調べて欲しい」
札幌の中心部を東西に貫く「札幌狸小路商店街」。道内で最も古い商店街のひとつです。規模も最大級で、西1丁目から7丁目まで900mの長さに、およそ200の店舗が並んでいます。
その最大の特徴は、アーケード。
狸小路1丁目から6丁目は、立派なアーケードで覆われています。全蓋式(ぜんがいしき)と呼ばれるアーケードに、すっぽりと覆われ、雪の多い札幌でも、気軽に買い物が楽しめる人気の商店街です。
しかし、依頼があった7丁目に行ってみると・・・レトロな雰囲気が漂っていますね。
確かに、1丁目から6丁目までと比べると、7丁目のアーケードは、古い!…失礼、年季が入っているようにも見えます。
これは、いったい、どういうことなのでしょうか?
狸小路7丁目の町内会長、風早(かざはや)金銀店の風早康宏さんは、「1丁目から6丁目まで新しくするのであれば、7丁目もどうかってこともあったんですけど、『このままでいこうじゃないか』いうことで7丁目は決まったんですよね」と振り返ります。
狸小路商店街の歴史は古く、1869年(明治2年)、札幌市に開拓使が設置された頃…狸小路2丁目と3丁目のあたりに飲食店などが立ち並び、タヌキのように言葉巧みに誘い込んだことから、1873(明治6)年ごろ、その一角は、「狸小路」と呼ばれるようになったという。
そして、1958年(昭和33年)から1960年(昭和35年)にかけて設置されたのがアーケードでした。
初代のアーケードは「丁目ごと」にデザインが異なり、その個性を競い合っていました。
そして、1982年(昭和57年)・・・。
狸小路1丁目から6丁目は、新たなアーケードが設置されました。しかし、7丁目だけは、アーケードを新しくしなかったのです。
7丁目のアーケードは、既に62年が経過している計算になりますが、なぜ、建て直さなかったのでしょうか?
風早会長は「昭和の名残りというか、レトロという感じがいいということで、7丁目まで足を運んでくれるお客様もいる」と話します。
狸小路7丁目といえば、29年の歴史を誇る中古レコード店に、1927(昭和2)年創業の由緒正しきお茶屋さん、1955(昭和30)年創業、オムライスが人気の食堂など、昭和レトロを感じる店が多くあります。そして極め付きは、1959(昭和34)年の創業の名曲喫茶ウイーンを改装した昭和酒場・ルマンド。
7丁目独特の雰囲気に、マチの人も「僕はこっち側の方が好きだから、何十年も通っているけど、その時がそのまま残ってるのが良いですね。昔懐かしいって感じ」と話していました。
昭和レトロのマチ並みには、新しいアーケードはマッチしないのです。
そして・・もちろん現実的な問題も・・・
風早会長によると、「新しく建てることにしても、各町内会ごとに銀行の融資を受けるんですけど、1丁目から6丁目のアーケードも何億っていう予算だったのは聞いている。仮に7丁目の町内会費が1mあたり5千円か6千円だとすると、やはり3倍から4倍になってしまう」といいます。
ということで、調査結果は、「昭和レトロを残したかった」から。
しかし、昭和レトロのマチにも、そろそろ限界が迫っています。
風早会長は、「建造物が昭和30年代に建てたものですから、何とか修繕しながらもたせている状態です。いずれは解体しなきゃならないという話も出ています」と話していました。
文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部IKU
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