みなさんは、「旅育(たびいく)」という言葉を、聞いたことがあるでしょうか?
旅育とは、旅を通じて子どもの自主性や好奇心などの成長を育むこと。子どもが主体となって計画し、家族みんなで実行する旅は、家族の絆を深めるだけでなく、子どもの生きる力を伸ばす機会にもなります。
2021年の秋、北海道内の小学生とその保護者を対象にした旅育ワークショップがオンラインで行われました。内容は、親子で一緒に課題やクイズに取り組み、意見の違いも楽しみながら北海道や旅への理解を深めるというもの。そしてこの時に、旅行プランを実践する機会づくりとして、旅行コンテストが開催されました。
今回は、このコンテストで「旅育トラベル賞」を受賞した旭川在住の東海林さん一家の、旅育の様子をリポートします!
小学3年生のよう子さんがお母さんと一緒に考えたプランは、「定山渓でカッパの像を探す旅」。よう子さんの目的は、定山渓にいるたくさんのカッパを探して写真撮影をすること。お母さんの目的は、温泉にゆっくりつかること。二人の「したい!」をぎゅっと詰め込んだプランです。
旅行当日は、朝5時半に起きて旭川から定山渓温泉へ。車の中では少し眠そうだったよう子さんですが、いざ到着すると、元気いっぱいにカッパ探しへ!
今回の旅での、よう子さんの最大の目的は、「カッパ大王」を探すこと。「絶対に見る!」と、旅行前からお父さんと盛り上がっていましたが、探している間にお天気が崩れてきてしまいました。
カッパ大王の場所がわからない上に、雪も降ってきて、寒さで手が痛い……と弱気になってしまうよう子さん。それを見て、「カッパ大王がどこにいるのかわからなかったら、聞かなきゃいけないね」と、お母さんはさりげなく助け舟を出しました。
お母さんは、この旅を通して、少し引っ込み思案なところのあるよう子ちゃんに「助けが必要な時、恥ずかしがらずに声をかける勇気を身につけてほしい」と考えていました。お母さんの言葉をうけて、少し緊張しながらも、お店の人に道を尋ねるよう子さん。無事、カッパ大王を見つけることができました!
夕食は楽しいバイキング! しかしここでも、よう子さんにちょっとした試練が。マグロのお寿司を食べたいのですが、シェフにお願いする勇気が出ないのです。
声をかけられずに諦めて戻ってきたよう子さんに、お母さんは、「マグロだけのお寿司ください」というフレーズを練習させ、もう一度送り出しました。
お母さんがこっそり見守る中、よう子さんは2度目の挑戦へ。
そして見事、お寿司をゲット! しかも、お母さんの分まで持ってきてくれました。
「全部、自分でいろいろ考えてやっていました。親に聞くのではなくて、周りの誰かに聞いていた。いい経験になったんじゃないかと思います」とお母さん。褒められて、よう子さんは笑顔に。家族4人にとって、定山渓での旅はかけがえのない、素敵な時間になりました。
親から子に一方的に教えるのではなく、親子で一緒に学び、絆を深める中で、力を大きく伸ばしていく「旅育」。ワークショップの講師を務めた村田和子さんによれば、旅育で大事なことは、「子どもを子ども扱いせず、フラットに接する」ことだといいます。
広大な北海道は、学びのテーマの宝庫!近場でも、楽しく、実りある家族旅行ができるのは北海道ならではです。子どもの成長に期待できるのはもちろんのこと、家族の絆づくりのきっかけにもつながる「旅育」。ぜひ、次のお出かけに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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