2022.03.03

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上司の自慢話や武勇伝にうんざり。でもスルーするわけにもいかないし...どうしたらいい? #てる子のお悩み相談ルーム

は〜い皆さん、ごきげんよう。札幌でちょこまかといろんなことをしている、満島てる子です。

突然ですが、みんな仕事の先輩との付き合いって得意なほう?
働き方も多種多様になってきているし、まぁご時世もあろうから「ずっとテレワークだし全然人と会わなくて済むのよ」なんて方もいるかもしれないけれど……。
大抵の場合どこかの職場に務めるとなれば、そこにいる古参スタッフや上司との付き合いというのは、嫌だろうとなんだろうと必ず発生するものよね(得意な人は全然いいのよ。むしろ羨ましくて妬ましいぐらいだわッ!笑)。

「ジェネレーションギャップ」という言葉があるぐらいです。世代が異なれば価値観も違って、まぁなかなか円滑にコミュニケーション取るなんて「夢のまた夢じゃん!」と難儀するもの。それでも業務上のやりとりもあるからこそ、なんとかその差を埋めようとたくさんの人が四苦八苦してるんじゃないかと思うんですが……。

時や場合によっては、立場が上であろうとも見過ごせない言動があったり、そのうざったさをどうしても消化しきれなかったりして、悩んだりすることもきっとあるでしょう。
今回は、そんなお悩みを抱える方からの投稿が来ているようです。

今回寄せられたお悩み

いやあぁぁぁぁぁぁぁん!!!

時代はもう令和だっていうのに、「ザ・昭和」のセクハラ自慢親父だなんて!
漢字一文字だけで大きな違いよね〜。

いやそうじゃないのよ、昭和が嫌いだって言いたいわけじゃないの。
平成生まれではありますが、明菜ちゃんや中島みゆきといった歌姫たちの名曲はもちろん、なんなら美空ひばりのカセットテープを母親のウォークマンで聴いて大きくなったあたしです。
リアル世代の人たちと「夜のヒットスタジオ」や「ザ・ベストテン」の話を肴に、馬鹿笑いしながら一緒にお酒を飲むのも大好きなのよ(そんな趣味嗜好のせいでゲイバーデビュー当初、「昭和くん」というあだ名を付けられそうになったのはいい思い出。ていうか「夜ヒット」とかってみんな知ってる?)。

でも、それとこれとは別というか、人間が社会の中で他の人と助け合って生きていくためにはもう古くて馴染まないような、そんな価値観を持ち越していて、
しかもそれを我がもの顔で他の人に押し付けるだなんて!
そんな奴がいたとしたら、周りの人にとっては多かれ少なかれ悩みの種になっちゃうはずだし、ましてやその人物が職場で力を握るボスのポジションにいるとなれば、ハラスメントのようなガッチリよくない問題は、投稿者さんの目の前ではもちろん、知らないところでもどんどん発生して、次第に業務にまで少なからぬ影響を出すことになっちゃったりしそうだよね。

上司の気持ちも少しはわかるけども。度が行き過ぎた「武勇伝」は、けしからんぞ……!

まぁ察するに、そういう価値観が当然な環境や時代の中で、自分自身の性格だとか、なんなら立場上のプライドまで育てざるをえなかったんだろうから、そういう意味で言うとその上司自身も「昭和の犠牲者」なのかもしれないんだけれどさ。

それに、あたしもなんとなく30代に入ってから、そんなつもりはなくとも結果として「昔の栄光」にすがってる風の会話をしてしまったんじゃないかと反省する瞬間もあってね(むしろ「こんなことあったんだよ」と後輩に伝えるために、わざとそういうくどいことを話している場面まであったりするのよねぇ)。

そうやって自分に置き換えて受け止めれば、上の世代の自慢話や武勇伝も、なんとなくそこに裏の意味があるんじゃないかと考えて、行き過ぎたものでなければ笑って聞けるようになったし、投稿者さんにもきっとそういう、相手のことを理解できる部分も少なからずあるんじゃないかなと思うんだけれど……。

でも、度を超えてうざったかったり、周囲に横暴を働いているんだとしたら、それは問題以外のなにものでもない
このコーナーがスタートして以来初めて、相談文を読んで「けしからん!けしからんぞ!」と、怒りに似た感情を抱いてしまったあたしだったのでした。

あたしなりのAnswer

さて、ここまでちょっと勢いよく書いちゃいました。そして、投稿者さんも「なるべくストレスを溜めない方法などありますかね?」と質問してくれているわけだから、本来であればここからトーンダウンして、上司との接し方についてどんな穏やかなやり方があるのかを、それこそあたしの方も穏やかにご紹介するべきなんでしょうが……。

ごめんなさい。多分なのですが、どんな方法をとっても、一時的に軽減されようが最後にはしっかりストレス溜まってしまうだろうし、なんなら「我慢するしかない」なんて考えなくてもいいとあたしは思います。
伝えにくいかもしれないけれど、嫌なものには「嫌」とはっきり言ってしまったほうが、その後の風通しもよくなる気がするんです。

たしかに「ノーリアクション」もひとつの手ではあるけれど……。

さっき書いたみたいに、自慢話については可愛いものと捉えて、それとなく聞き流してあげる余地もいくらかあるかもしれない。でも、ことハラスメントとなると事情は別。これって、受ける側やその周囲が黙認していればしているほど、どんどん加速しひどくなる性格のもので、いじめや差別とよく似た「蟻地獄」的な構造を持っています。

だから「いじめ、カッコ悪い」(これもう四半世紀前にできた標語なのよね)という共通認識を作ったり、LGBTパレードのような場面で「ゲイやレズビアンへの差別をやめて!」と叫んできたことで社会が変わったように、もしハラスメントに該当するような場面に出くわしたなら、誰かがそれに対して「それまずいっすよ」と指摘する必要があるし、そうしなくてはならないんです。

あたしも、投稿者さんが書いてくれた「ノーリアクション」については、これもひとつの手なのかなと思っていた時期もあります。
知り合いに「俺はそういうの理解あるよ〜、ホモの人ってさ……」って言われた時も「まぁいいか」と追及せずに流したり(「ホモ」って差別用語なので、当事者に対して使うのはNGだったりするの)、カミングアウト後に「子ども残せないなんてもったいな〜い」というリアクションをもらい、思うところがあった場合でも、こらえてさらっとパスしたりしていました(もったいない云々って発想が失礼だし、ゲイカップルだって子育てができる時代なんだけどね)。

でも、これはLGBTコミュニティでよく使われる合言葉なんだけど、やっぱり「 沈黙は死 」 。
言葉に出さなきゃ相手に何も伝わらないし、悪い状況は悪いまま。スルーを基本姿勢にしていると、そんな場面に出くわすことばかり。
投稿者さんも経験したように、わざと無視しても「聞いてないだけ」って思われるみたいなことが起きたりすんのよね。

勇気を出した、あなたの一言が、あなた以外の「誰か」をも救えるかもしれない。

だからここ数年は、もし少しでも「ん、それはどうなの?」と感じるところがあったなら、その印象を相手に対してできる限り素直に、あとその場で言うようにしています。
まぁ、「この人にはどうしても言いにくい」ってパターンもよくあるし、言葉を尽くすのに疲れる日もあるから、そんなときは沈黙におおいに癒やされたりもするんだけれどね。過去には「さっぽろレインボープライド」のHPに、そんな内容のブログ(※)をアップさせてもらったこともあります 。

職場の力関係もあると思うし、投稿者さんにあたしと全く同じことをしろ、なんて強くは主張できませんが……。
でも、もしちょっとでも「やっぱりこの環境どうにかしなきゃ」と思うタイミングが来たならば、
勇気を出して上司に「そういう言動やめませんか?」って呼びかけてみるのもいいんじゃないかしら。
思いの外すんなり言葉を聞いてくれるかもしれないし、そうでなかったとしても、そこから始まる変化というのも少なからず存在するような気がします。

世界を変えられるのは、あなたの一言かもしれない。
昭和のセクハラ自慢上司だって、転がし方次第で「令和の気のいいパイセン」へとメタモルフォーゼしてくれる可能性も!
パワーはかなり使っちゃうかもだけれど、投稿者さんの職場環境がよりよいものになっていくといいな。ファイトですよん。

ま・と・め ♡

というわけで、今回はちょっと熱っぽく上司との付き合い方やハラスメントについてお話させてもらいました(暑苦しすぎたかも、ごめんなさいね〜)。

いやいや、どんなところで働けているかって、自分の人生にとってすごく大事な要素よねぇ。お仕事って自己実現に関わるところもあるもの。
普段は店でこれでもかってぐらい飲んだくれまくっているちゃらんぽらんなあたしなのですが、そんな自分も、カウンターに立っていろんな人とお話させてもらっているときに生きがいを強く感じるし、だからこそ今の場所を守りたいという心情をいつも持っているのでした。

どなたさまも、素敵なワークライフを!
ではでは皆さん、Sitakkeね〜!

(※)「さっぽろレインボープライド」HP内のブログ
https://www.sprrainbowpride.com/post/crowdfunding-teruko-with-us-20210621

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:なべ子(Sitakke編集部)
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

お悩み投稿フォーム
https://questant.jp/q/sitakke_teruko

てる子のお悩み相談ルーム・過去記事
https://sitakke.jp/tag/10/

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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