は~い皆さん、ごきげんよう!愛を追い求め続けるしがない女装子のゲイ、満島てる子です。普段はお悩み相談コラムを担当してま~す!

「恋愛ってなんなん?」と悩んでる人に読んでほしい【文豪・哲学者の名言】(③)

2月といえばバレンタインデー!ということで、今月はズバリ、恋愛がテーマ。恋愛に悩んでいる人、楽しんでいる人、「恋とか愛とかって一体何なんだろう?」と考えている人たちにも向けて、あたしお気に入りの 文豪たちの【恋の名言】を3つピックアップ!

これまで、PART①では「スタンダール」、 PART②では「ヘルマン・ヘッセ」、それぞれの作品より名言を抜粋させていただきました。

さてさて"大トリ"を飾る名言は……? 早速いってみましょ~!

「すべてのひとが生きているのは、自分で自分のことに頭を使っているからではなく、人間の中に愛の心があるからなのです……人間はだれでも自分の心配ごとだけではなく、愛の心によって生きていることを、わたしは知りました」……トルストイ『人は何によって生きているか』

シリーズのラストを飾るのは「そう、愛ってこういうものだった」と気づかせてくれる、ロシアの文豪レフ・ニコラエヴィチ・トルストイの名言です。『アンナ・カレーニナ』『光あるうち光の中を歩め』はもちろん、『イワンのばか』は定期的に子供向けのアニメとしてもリメイクされ、広い世代に有名なトルストイ。ドストエフスキーやツルゲーネフらと並び、ロシア文学を代表する作家として評価されています。

彼はものを書くにあたって、「特定の人間だけではなく、すべての人に理解されるわかりやすい作品を」という考えをそのモットーとして大事にしていたと言われていますが、それが如実に現れているのがこの『人は何によって生きているか』。ロシアに古くから伝わる民話を題材として、そこにトルストイの考える「愛」を惜しむことなく盛り込んだ一作となっています。

貧しい靴屋のセミョーンは、ある冬の日に外で素っ裸で倒れているミハイルを助け、自分の家に引き取ります。寡黙でよく働くミハイル。彼は滅多に笑ったりしないのですが、不思議なシーンで笑顔を見せるのでした。3度目に笑ったある日のこと、ミハイルはその正体を表します。彼は「人間について学んでこい」と堕天させられた天使だったのです。彼は人間からその愛を学んだとセミョーンらにとうとうと語り、天へと登っていくのですが、その結論として彼が放ったのがこちらの言葉。他の作品にも通底しているトルストイの信条が、はっきりと示されているシーンだと言えるでしょう。

この本と出会ったのは確か小学生のとき。実家の古ぼけた本棚の中にひっそりと眠っていたところになんとなく手を伸ばしたのがきっかけでした。平易でさらっとした文体、すんなりと読み解けるプロットであるにも関わらず、そこに溢れている情感と訓示に、幼いながらも胸を打たれたことをよく覚えています。

よく言われるように、トルストイの語る「愛」には確かに宗教的なニュアンスが強いです。ですがあたしは、ここで語られている内容はきっと、家族間の愛だったり誰かとの友愛だったり、なんなら恋愛的な関係性にも広げて当てはめることができると思っています。

人生を送っていると、割と日々生きているだけで精一杯。あれやらなきゃ〜これやらなきゃ〜なんて、あくせくと自分のことにかかりっきりなうちにいつの間にか日々が過ぎていき、「自分の存在って一体……」と愕然となっちゃうことありませんか(あたしはしょっちゅう)。

でも、そんな中でも大事な人に何かがあれば、あたしたちは自分のことを一旦置いておいてでも、その人のために何ができるかを真剣に考えるでしょうし、実際にその人のために動くはずです。そして誰かのために、誰かのことを思いながら、愛を理由に「相手に身をささげよう」と動いたとき、そこに「生きがい」のようなものが見えてくるんじゃないかと、あたしはそう思います。

ミハイルのこのセリフはそうした人間の核を鋭く突き、かつ明確に表現していて、読み返すたびにハッとさせられるのですが、彼はその語りの中で他にも人間のちっぽけさやその弱さについても取り上げていて、実際に読んでみるときっとその奥深さ、幅の広さに驚かされるはず。ぜひみなさんにもこちらの作品、手にとって味わってもらえればと思います!

それにしても、誰かのために何かをするって本当に難しいことだけれど、愛ってそれを可能にしてしまうすごい力よね。だからこそ、大事に想うことのできる人との出会いって、心底大事にしたくなるんだと思うの。
愛に生き、愛に生かされるような瞬間が人生の中であったなら、きっとそれは奇跡。
もしそんなシーンに巡り合うときがきたなら、相手のことも自分のことも、その関係性もひっくるめて、可能な限り大事にしてみてくださいね。

というわけで、今回は3部に渡って、あたしの個人的な思い出も交えつつ、恋や愛についての文豪たちの名言3選をご紹介させていただきました!いやはや、なんかこういう文章書くと、むくむくと読書欲湧いてくるものよね〜。せっかくだからバレンタイン、好きな人にお気に入りの本でもプレゼントしてみようかしら。

ちなみに今ハマっているのは、倉田百三の『愛と認識との出発』という本です。恋愛、特に失恋で悩んでいる人にはとってもオススメよん(5年ぶりぐらいに読んでるかも。笑)。

ではではみなさん、素敵なバレンタインを! Sitakkeね〜!

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「連載コラム・てる子のお悩み相談ルーム」
文:満島てる子
編集:なべ子(Sitakke編集部)
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「SItakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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