2021.12.27

深める

「今年も何もできなかった…」そう思う人に知ってほしい3つの考え方

気がつけば、今年も残りわずか。街にクリスマスの飾りつけがあふれる中、人によっては年賀状やお正月飾りの準備に追われているのではないでしょうか。この時期、「もう今年が終わってしまう」「何もできなかった」と1年を振り返って落ち込む人が少なくありません。

今回はそんな方に向けて、公認心理師の筆者がちょっと気持ちが楽になる考え方のヒントをご紹介します。

1:年末のやるべきことができない焦りと1年の評価を混同しない

年末が近づくと、何かと気ぜわしくなります。お歳暮の手配、クリスマスプレゼントの準備、年賀状の印刷……年末にやるべきとされることはたくさんあります。すると「あれもこれもできていない」と焦ってしまい、できない自分を責めやすくなります。そして、今やるべきことが思うように進まない焦りと自己嫌悪から、できなかった自分サーチモードに入るのです。

この1年何もできなかったわけがないのに、このモードに入っていると、できなかったことばかりを上手に見つけてしまいます。そして、1年間の中でできなかったこと全てを今やるべきことに加えて、より焦り、落ち込んでいきます。

ただでさえ忙しい年末に、過去にできなかったことを掘り返して、今のタスクに組み込むことはやめましょう。たとえこの1年でできなくても今それほど困っていなければ、今やらなくていいのです。今本当にやらなくてはいけないことに集中できるよう、過去のできなかったことはそのまま置いておきましょう。

2:変わらない日々を維持することはすごく大変なこと

人はとかく変化すること、何かを作り出すことが良いことで、それができないことはダメなことと思いがちです。でも実は、今ある現状を維持することこそがとても大変なこと。これまでの日常を維持することがどれほど難しいことなのかを、コロナ禍で学んだはずです。それでもなお人は何かを作り出すことが大事と思いこみ、日々を普通に過ごすことに対しての評価を怠ります。

家庭でも会社でも、状況を維持する仕事は何かを作り出す仕事よりも評価されづらいもの。でも状況を維持する仕事をしてくれる人がいるからこそ、何かを作り出す仕事ができるのです。

そして仕事内容にかかわらず、このコロナ禍においてさまざまな感情を抱えて日常を送ることは、とても大変なこと。軽視されがちですが、不安や怒り、焦りを抱きながら生活することは簡単ではありません。

現状を維持すること、感情を抱えることといった評価されづらいことに少し目を向けてみてください。

3:本当の目的をもう一度考え直す

年末年始に限らず、やらなくてはいけないことに追われているのが現代人。忙しい日々の中で、本当の目的を見失っていることは結構あるものです。

たとえば、おせち料理。「毎年おせち料理作りが楽しみ!」という方はもちろん楽しんで作りましょう。でも「負担で憂鬱……」という方も多いものです。本来家族でゆっくりと笑顔で過ごすためのおせちが、負担になって落ち込みにつながっているのは、本末転倒だと思いませんか?

1年の振り返りも同じです。1年を振り返って来年の目標を立てるということは、いろいろなところで勧められています。でもその目的は、決して落ち込むことではなく、気持ちよく新年を迎えることのはずです。振り返って落ち込むだけだったら、振り返ることにエネルギーを使うよりも、今やるべきことをこなしたほうがずっと良いと思いませんか?

何をするときも苦しくなってきたら、「本当は何のためにやっているんだったかな?」と考えてみてください。苦しくてもやらなくてはいけないこともありますが、もし本当に苦しくて、本当の目的から逸れてしまっているのであれば、思い切って一度やめてみることも大事です。

節目は自分で決める

年末を節目と考えて、いろいろなことをするのは決して悪いことではありません。でも「年末だから」とあれこれ自分に課すことが増えすぎてしまうと、年末年始が辛い時期になってしまいます。

患者さんにもときどきお伝えするのですが、12月と1月との間にそんなに大きな意味はないと考えてみてはどうでしょうか。あなたの節目はあなたが決めて良いのです。あなたが「気持ち新たに頑張ろう!」と思ったら、そこが節目。12月に1年の総評価を厳しくつける必要はありません。

思いつめがちな方ほど、いつも通りの毎日を心掛けてゆったりとこの時期を過ごしてみると良いかと思います。

文:竹原久美子(公認心理師/婦人科クリニック勤務)

【画像】TY, manoimage / PIXTA(ピクスタ)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • twitter