2021.11.26
ゆるむ札幌市円山動物園は、ことし70周年を迎えました!これを記念したSitakkeの連載、「円山動物園さんぽ」。
長く愛されてきた背景には、一度だけでは味わい尽くせない、見どころの多さがあります。「さんぽ」するように気軽に通うことで見つけられる、動物たちの深~い魅力をお伝えしていきます。
きょうご紹介するのは、つぶらな瞳でこちらを見つめるこの動物…♥
プレーリードッグです。なんとキスやハグでコミュニケーションをするといいます。その理由とは?
プレーリードッグは「プレリー」と呼ばれる北アメリカの大草原に生息していて、「キャン」という鳴き声が犬に似ていることから「ドッグ」という名前がついたそう。
オス1頭にメス2〜3頭、その子どもたちで「コテリー」という家族のような群れを作って暮らします。1頭のメスが3〜4頭の子どもを産むので、ひとつのコテリーで10頭ほど。
さらに、いくつかのコテリーが集まってプレーリードッグの“社会”を作り、協力して暮らします。眠るときも、みんなでくっつく姿が愛らしい…!
でも、コテリー同士で仲間になることもあれば、敵になることもあるそう。争いの火種は主に「食べ物」。せまいところだと、十分な食べ物を確保するために、じぶんたちのスペースを守ろうとします。
プレーリードッグは穴を掘って、ほぼ砂の中で過ごす動物です。暗い中でも視力に頼らずに、どうやって仲間を見分けるのでしょうか?
飼育員の沖野絵美(おきの・えみ)さんによると、その方法は「キス」!
「キスすることで、相手が誰かを確認していると言われています。キスしている姿を見られるのはまれですね。ハグをする姿はよく見られますが、信頼関係を表しているとみられています」
取材中、ず〜っとキスしている1組が…。
(その間に1頭がうずくまっているのもかわいい…)しかし、突然1頭が乱入してきて…?!
情熱的に頭をつかまれて、唇を奪われました…!
鳴き声でコミュニケーションをとることもあります。外でカラスが飛んでいることに1頭が気づくと、仲間に知らせるために「キャン」と鳴き、それを聞いた仲間もほかの仲間に知らせるために鳴くため、「キャンキャンキャン!」と響き渡るそう。
沖野さんがくしゃみをして、みんなが「キャンキャンキャン!」と鳴き出したことも…!誰かが仲間の声と勘違いしたのか、異変を感じたのか…プレーリードッグの「連帯感」を感じるほっこりエピソードですね。
しかし、沖野さんによると、北アメリカでは農作物を荒らす“害獣”としての側面もあるといいます。巣穴に暮らすプレーリードッグを排除しようと、掃除機で吸い出すこともあるそう。
一方で、環境全体を考えると、プレーリードッグが巣穴を掘る行動は、土がかき混ぜられて植物が育つという、いい側面もあるといいます。沖野さんは、「もともと動物たちが暮らす自然に後から侵入し、利用させてもらっているのは私たち人間のほう。円山動物園を通して“人と動物との関係”を考えてみてほしい」と話していました。
円山動物園が大切にしているのは「動物福祉」。動物たちが健康で安全に過ごし、野生において見られる本来の行動ができるように工夫します。
プレーリードッグに対しても、暇にならずに1日中楽しめるようにと、毎日エサを土の中のいろいろなところに隠しているそう。エサを探して穴を掘ったり、高くなっているところを“見張り台”として使って仲間を守るためにあたりを見回したりと、自然の中での習性を発揮できる場所にしています。
円山動物園では、緊急事態宣言の終了にともなって今月から入園の予約が不要になりました。引き続きマスクや消毒など対策をした上で、愛らしいプレーリードッグの姿を見に行ってみてはいかがでしょうか。
過去記事一覧: 円山動物園さんぽ
<あなたに届けたい記事>
・あんの甘みにモチモチ食感!農家への思い、あんパンに込めて 満寿屋商店
・食べたらクセになると話題!羽釜で炊いた〇〇おにぎりの味
・「雪の妖精」シマエナガちゃん20連発!【画像まとめ】