
子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」、そして2児の母でもある、HBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)がご紹介します。
新生活の始まりは、緊張の連続。周りのペースについていけず疲れがたまったり、自分と他人を比べて不安を感じたりしていませんか?
今月の絵本通信は、自分の『ものさし』を捨てて、「マイペースに、私らしく歩んでいこう!」という前向きな気持ちになれる一冊をご紹介します。
主人公は、北海道の幌加内町に実際に生えている桜の木、『さくらちゃん』。
冬から春に移り変わる静かな風景に、物語が添えられた “写真絵本 となっています。
あなたは満開のさくらちゃんを見て、何を思うでしょうか。

主人公は、チシマザクラのさくらちゃん。
旭川市の西隣に位置する幌加内町・朱鞠内(しゅまりない)の湖畔に実在しています。
「今年の桜開花も早いかな?」
そんな会話が聞こえてくる北海道の3月。
豪雪地帯にいるさくらちゃんはまだまだ雪の下。
4月になっても雪の下。
5月になっても、硬いつぼみ…。
でもこれがさくらちゃんなのです。

どんなに周りのシラカバたちから急かされても、さくらちゃんは、 「わたしがさく日は、わたしがきめる」 という意志を持ち、そのときが来るのを待ちます。
そしてついに…… 「わたし さきました」!!
青空に向かって両手を広げているように咲き誇る見開き1ページの写真は、圧巻。

周りの声に惑わされず自分らしく咲いたさくらちゃんに、拍手を送りたくなる、感動の瞬間です。
小学2年生になる7歳の息子は、 「すっごーい!きれい!!」 と、初めての『写真絵本』に大興奮!
「この写真はどうやって撮ったんだろう?」と、アングルにも興味津々。
さらに 「4月なのに、なんでこんなに雪が積もっているの?!」 と、豪雪地帯・朱鞠内の景色に驚いたようす。
子どものリアクションって、本当にストレートで面白いですね。

すべてひらがなで書かれているので、子どもも読みやすく、ちゃんと心に届いたようです。
北海道内では、小学4年生の道徳の副読本としても使用されています。
『さくららら』を創作するきっかけとなったのは、この絵本の文を担当している升井純子(ますい・じゅんこ)さんが、たまたま目にした新聞記事。
升井さんは、札幌出身の児童文学作家です。
あるとき、 「桜前線の終着点である根室市から2週間遅れで、朱鞠内の桜がようやく咲いた」 という新聞記事の、 『ようやく』 という言葉に、ふと疑問を感じました。
升井さんが思ったのは「開花が早いとか遅いと騒いでいるのは人間の勝手ではないか。それぞれ咲いたときが咲きどきでしょう?」ということ。
そのとき、 「おそくたって これがわたし」「ちいさくたって これがわたし」 という絵本のフレーズが浮かんだそうです。
升井さんとタッグを組んだ芽室町在住の写真家・小寺卓矢(こでら・たくや)さんは、2シーズンに渡って朱鞠内湖に通い続け、着想の原点となった『さくらちゃん』を撮り続けました。
絵ではなく、 写真だからこそ伝わるさくらちゃんの真の強さ が、確かにあります。
美しいだけでなく、心にもしっかり届く、ドキュメンタリーのような絵本。
子どもだけでなく、大人のみなさんにも読んでいただきたい作品です。
【参考】
北海道新聞夕刊 記事『升井さんと小寺さん 写真絵本』(2021年3月17日)
【取材協力】
ちいさなえほんや ひだまり
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文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
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編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は2026年3月の情報に基づきます。
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