2026.03.20

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「人生が終わってしまう」絶望の中でフィルムカメラがくれた一筋の光 今へとつながる生きる実感

フィルムカメラがくれた光

そんなとき、フリーランスのカメラマンだった父親からニコンFEのフィルムカメラをもらった。それから、病院から見える外の景色や病院内の風景や人を撮り始めた。

そのうちそれが日々のルーティンとなり、撮り終えたフィルムは見舞いに来た母が受け取り、そのまま病院から近いカメラ屋へ現像に出すというサイクルができあがった。

プリントされた写真があがってくるたびに、自分がいま「ちゃんと生きている」という実感を味わうことができた。

そのさなか、写真撮影という希望を与えてくれた父と、いつもフィルムの現像を請け負ってくれた母が離婚。

現在、水本さんがフィルム撮影で愛用するカメラの一つが、かつて人気を博した国産ブランド・ゼンザブロニカの中判カメラ。

生活の上では父と別れることになったが、その後も撮影技術や現像の手法を一から教わることができた。これが、やがて写真撮影を生業とする現在へとつながる水本さんの原体験だ。

「自分で写真を現像する時間が本当に好きで。暗室にこもって、手と足を動かして写真を1枚1枚現像してると、本当の意味で世界で1枚だけの作品、自分だけの作品という感覚を味わえる。それが一番の魅力ですね。

フィルムっていま生産量がぐっと減ったので本当に値段が高いんです。1カットで換算すると1枚200円くらい。だからフィルムで写真を撮るときはいつも“1枚200円... 1枚200円...”って心の中でつぶやきながら、デジタルより集中して撮影してる気がします(笑)」。

水本さんが撮影したフィルム写真。今回は特集の主旨にのっとり、データ化したものではなく紙焼きをスキャンして掲載。「フィルム撮影は思った通りの仕上がりにならないことがある分、自分の写真表現の幅が広がる。それは仕事のデジタル撮影にも確実に活きてますね」。

peeps hakodate

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