2026.02.23

食べる

「もう、私の代で終わりだと思ってるから」幻の津軽そばをつなぐ、最後の砦が函館にある理由

80歳の足音が聞こえる その日 その時まで

そば切り包丁は、いわゆる男包丁と女包丁の2種類があり、るみ子さんは一貫して男包丁を使う。男包丁は重さがある分、刃の入りが違うという。この包丁や切り板などは江戸時代につくられたもので、創業者の山田清治がそばを教わった林から譲り受けた道具。

6年前、るみ子さんは乳がんを宣告され長期にわたり治療に専念。復帰後も肩腱板断裂に見舞われた。

それでも多くの常連から「1日10食でも20食でもいいから続けてくれ」とハッパをかけられ、金・土・日の週3日営業を続けている。

その3日間をめがけ、長く通う地元客だけでなく「幻の津軽そば」を求めて遠方からも客が訪れる。

ここでしか食べられないそばの価値を知る者にとって『かね久 山田』は最後の砦であり、75歳になったるみ子さんにもその自負はある。

「跡継ぎはいないし、もうそのことは考えないようにしてるの。私の代で終わりだと思ってるから。私がこの世を去ってから、どこかで誰かが『昔、宝来町のあのあたりにおいしいそば屋さんがあったよね』って話題になってくれるだけで幸せ。でも、もう少し続けたい。せめて80(歳)の足音が聞こえるまでは。いまはなんだか80までやれそうな気がしてますよ(笑)」。

季節や時期によって、ウニやホタテのごはん、生姜の炊き込みごはん、豆ごはんなどが味わえるのも山田の愉しみ。

【かね久 山田】
北海道函館市宝来町25-2
0138-23-4438

***
Peeps hakodate vol,144 「特集 今日はご馳走。Vol.2」より

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