2026.02.23

食べる

「もう、私の代で終わりだと思ってるから」幻の津軽そばをつなぐ、最後の砦が函館にある理由

その手間こそが、「津軽そば」

つなぎで使う乾燥大豆は今金町の「たまふくら」など。

大豆を40〜50分かけてすりつぶすと、このような呉汁(ごじる)ができあがる。写真/『サライ』14巻 第17号より。

「水に漬けた大豆を手作業ですりつぶして呉汁にするんだけど、それができるまでだいたい40〜50分かかるの。若い頃はね、他のそば屋さんでそんなことしてないし『なんでわざわざこんなめんどくさいことしなきゃなんないの』って思ってたこともあったけど、でも絶対にこれをやらないとウチのそばにならない。

ミキサー使えば2〜3分で終わることなんだけど、仕上がりが雲泥の差だから。大変でも手でやらなきゃダメなんです」と笑いながら話するみ子さん。

通常のそば打ちにはないこういった一仕事に加え、「ひきたて・うちたて・ゆでたて」のいわゆる“三たて”を正解とする日本そばにおいて、その対極である「熟成」を前提としたそばを信条とする津軽そばの製法。

あまりに手間がかかり、儲けが薄い。その実像を知れば知るほど、絶滅に瀕した理由がわかる気がする。

また津軽そばは出汁にも特徴があり、使うのはウルメイワシの煮干しのみ。昆布やカツオ節は一切使わず、かけそばは醤油と塩で味を整え、もりそばは醤油と砂糖のみを使う。

使う食材が最小限のため味のごまかしが効かず、かけつゆもつけ汁も繊細でやさしい味の加減にまとまっており、それは手間のかかる仕事でしか生まれようがないのだ。

出汁に使うウルメイワシの煮干し。頭は残してワタのみを取り除く。

かけそば(500円)。津軽そばの真髄はかけそばでこそ味わえるといわれており、るみ子さん自身もかけそばの方を好む。「かけそばの方が、そば本来の味が伝わると思います」。

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