2026.01.28

出かける

「アンチサウナだったのに」800年続く北海道最古の温泉がサウナブームの最前線になった理由

1247(宝治元)年開湯・知内(しりうち)温泉 ユートピア和楽園

「上の湯」坂の上に源泉があることからこのように呼称する。明礬(みょうばん)泉と塩泉が強いことで古くから湯治に使われ、また美肌効果も期待できる湯。床は歴史の積み重ねを感じさせる湯の花が描く独特の模様。浴槽温度は43℃。

開湯800年 − つまりこの温泉は800年前から渾々とそこで湧き続け、人々の体を温め続けてきた。一口に800年前といってもピンとこないかもしれないが、その頃の日本は鎌倉幕府が全国を統治していた時代で、アジアではモンゴル帝国が隆盛を極め、ヨーロッパでは東ローマ帝国が復興の狼煙をあげる頃である。まるでファンタジーの世界だ。

しかし、その時代から続く北海道最古の温泉がこの知内町に存在し、いまでも気軽にその湯に浸かれることは奇跡的に感じるが、それは決して奇跡でも偶然でもなく、現在18代まで続く歴代の湯守たちとそのまわりで支え続けた人たちの努力の結晶である。

「下の湯」の内湯は上の湯に比べて鉄分泉が濃く、源泉も建物に近い場所にあるため、浴槽に来るまで冷めにくく、体が温まる。また下の湯には宿泊客が貸切で利用できる露天風呂『里見の湯』もあり、湯に浸かりながら四季の情景が愉しめる。

松前半島を流れる知内川支流の河岸にある『知内温泉 ユートピア和楽園』(以降 知内温泉)は、周囲を多彩な針葉樹や落葉樹の大自然が取り囲み、古き良き湯治場の雰囲気をいまに残す貴重な場所。

北海道最古の歴史を誇る知内町・雷公神社所蔵の「大野土佐日記」(※知内町に存在する最古の古文書)には、1205(文久2)年に甲州の城主で鎌倉幕府2代将軍・源頼家の令を受けた荒木大学という人物が砂金を求めて北海道に渡り、かつて「湯ノ里」と呼ばれた現在の知内町に砂金堀りの拠点を構え、その際に掘り子の一人が湯煙を発見したのが温泉のはじまりであることが記されている。

敷地内から5つの源泉が自噴し、完全掛け流しで加水も加温もない正真正銘の天然温泉である。

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