2025.11.16

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「ししゃものようにたくましく」町の主役を幻にしない…3年で見えた復活の兆しとは

復活をかけた挑戦

こうした状況の中、むかわ町では「シシャモを幻の魚にしてはいけない」そんな強い思いから、町の主役復活をかけた取り組みが始まっています。

「むかわ町では、鵡川の河口から遡上してきたシシャモを捕獲して、このふ化場に収容します」

教えてくれたのは、むかわ町農業水産課の岩舘宏樹主任です。

むかわ町は3年前、7億5千万円以上を投じて、ふ化場を新設しました。ここを拠点に、卵から稚魚を育て、春に放流。未来へ向けた資源回復に取り組んでいます。

2023年

「ふ化場に敷いた砂利に、卵が付着して、春になったらシシャモがふ化する」

2024年は、遡上してきた2万4千尾ほどを、ふ化場に収容。
徹底した水温管理の中、7300万粒もの卵を育て、今後、1億粒を目標にしています。
試験操業での明るい兆しに、シシャモの専門店・カネダイ大野商店も期待を寄せます。

「むかわ町でも試験操業、船を出して調査をした。5センチ前後の赤ちゃんシシャモがたくさん入ったらしい。ふ化場で産まれたシシャモが、たくさん帰ってきて来年以降に繋がっているんじゃないかなと、明るい兆しも見えますので、来年には期待しております」

町の宝を未来へ

そしてむかわ町は今年、マチの条例で11月1日を『むかわ町ししゃもの日』と制定しました。
この日を復活への節目にしたい…、町はそんな願いを込めています。

「1が、三つ並んで漢字の『川』という字に見立てられるということ、1の持つ意味が「はじまり」「スタート」そういった意味もあることから、11月1日を『むかわ町ししゃもの日』として制定しました」と話します。

マチの宝であるシシャモが戻る日を待ち侘びて、むかわ町の取り組みは、静かに続いています。

復活への期待

春に生まれたシシャモの稚魚は、多くの場合、翌年の秋には川へ戻って来ます。
3年前、むかわ町に新設された『ふ化場』生まれのシシャモも、その一部が帰って来ている…ということになります。
資源回復の取り組みは、着々と進んでいるようです。

11月1日(土)には、町が条例で制定した『むかわし町ししゃもの日』を初めて迎え、道の駅『むかわ四季の館」で、去年、ふ化場で産卵を終え冷凍していたシシャモを1000セット限定で無料配布したということです。

遡上するシシャモで川が埋まるようだった…という話もあり、早くからブランド化に取り組んだ、まさに「地域の宝」。
復活を期待する地元、むかわ町の思いは高まっています。

近い将来、以前のようなにぎわいが秋の漁港に戻ってくる日を、私たちも待っています。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年10月29日)の情報に基づきます。

HBC報道部

毎日の取材で「気になるニュース」や「見過ごせない事案」を、記者が自分の目線で深掘り取材し、「ニュース特集」や「ドキュメンタリー」を作っています。また、今日ドキッ!の人気コーナー「もうひとホリ」「もんすけ調査隊」も制作しています。最近は放送にとどまらず、デジタル記事、ドキュメンタリー映画、書籍など、多くのメディアで展開して、できるだけたくさんの人に見てもらえるよう心掛けています。北海道で最初に誕生した民間放送の報道部です。

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