2025.11.13
出かける
朝倉かすみさんは、北海道小樽市出身。発行部数26万部を突破した『平場の月』(光文社文庫)は、第32回山本周五郎賞を受賞し、第161回直木賞にもノミネートされました。
映像権をめぐって、30社以上からオファーがあったといいます。
「びっくり。たくさん手が挙がって、『こんな地味な話なのに?!』ってびっくりしたんです。主人公も若くないし、不思議だなあと思いました」
朝倉さんにとって、初めての映画化作品です。
映画を見て「こうだったんだ」と思ったといいます。
「すごくよかった。私が書いていたのはこういう感じだったんだと思いました。シーンとか表情は、小説を書くときは頭の中で思い描いているだけで省略もあるんです。でも映像は情報が多いので、『こうだったんだ』と驚きがありました」
原作小説は、堺雅人さん演じる青砥の目線で描かれていて、井川遥さん演じる「須藤が一人でいるところは書けない」ため、「そういうシーンを見て、ああこうだったんだ!って思っちゃった」と言います。

映画の制作中は、スタッフから「このシーンはどんな月ですか?満月ですか?」「須藤はどこの大学を出ていますか?」など細かく聞かれ、思いもよらない質問で不思議に思っていたといいます。
そんなやりとりを経て完成した映画を見て、もっとも印象的だったのが、月を生かした演出だったと話します。
「月の演出は素晴らしかった!私もこれはやればよかった!と思いましたね。タイトルに入れているのに、なぜ気付かなかったんだ!って」
映画の感想を目を輝かせて話す姿に、原作者でありながらも、一観客として楽しめる作品であったことが伝わってきました。
「たぶん、私の書いたものを大事に思って作ってくれたと思うんですよね。幸せな原作だし、幸せな原作者だと思います」
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