2025.10.28

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ついつい「自虐ネタ」に走る気持ち、わかりすぎるけど…これから大事にしたいキーワードをアドバイス

あたしなりのAnswer

大丸札幌店で行われたファッションショーにドラァグクイーンで参加

さて、ぽっちゃりさん。
さっきは話の流れからも、自虐ネタを時代遅れのくくりに入れたけれど。

あたし正直、お昼の世界で共有されている考え方が、すべて正しいとは思ってはいないのよね。

例えば「ブス」。

ゲイバーのコミュニケーションの中では、実際によく飛び出す単語なのですが。
この言葉は、造形が不細工であることのみを指すものではありません。

どちらかというと「生き様が不器用で、どうしようもなくって、でもどこか憎めないよね」という一種の愛らしさを伝え合うために、仲のいい相手に対してであるとか、自虐の意味を込めてもあえて使ったり。

かと思えば、その場を乱す不粋な人に向けて、その行動を静止するために放つ言葉としても、「飲み屋」の中では用いられたりします。

これは、意味のある毒なんです。

LGBTQのQに相当する「クィア(Queer)」も、もともとは自虐ネタです。
日本語に訳せば「変態」。
その意味ゆえに、英語圏では元々性的マイノリティに対する侮蔑語として使われていたのですが。

それを逆手にとって「変態で何が悪い」と、自己紹介の単語としてあえて使う文化がコミュニティの中に生まれ、それが今でも継承されています。

こんな風に、実はポジティブで、力強い意味を持つ自虐ネタが事実ある。
もしかしたら「ぽっちゃり」というペンネームも、そのひとつに当たるかもしれませんよね(マツコ•デラックスさんとナンシー関さんの『クィア•ジャパン vol. 3』(2000年/勁草書房)での対談が、この点についてはとっても参考になるのでオススメです)。

でも、その力強さを愛で、毒を薬として活用する余裕というか余白というかが、おそらく今の社会にはもうない。
というか、毒はそもそも遠ざけましょうよという考え方が、様々な場面でスタンダードになってきている。

だとすれば、ぽっちゃりさん。我ら毒タイプの技の使い手としては、環境としてしんどいかもしれないんだけれども。
あたしたち、そういう考え方に少しずつ、ある意味力づくでも馴染んでいかなきゃいけないんじゃないかしら。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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