2025.10.28
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そんな仕事であるがゆえに、あたし自身もそうなんだけれど。
夜の人間は、昼の世界では「コンプライアンス」に抵触するんじゃととがめられたり、「ハラスメント」ではないかと現在ではいぶかしがられるようなラインを、その場の状況に応じて「仕方ない……えいや!」と飛び越えざるをえなかったりもするんだよね。
しかも、その「えいや!」が一種のしきたり/売りとして、定着していたりもする。
ゲイバーに「ブス!ってののしられたいんです!」という理由で来るお客さんって、昔から絶えないのですが、これはそんなしきたり/売りが定着している典型例だと思いますし(あたしは大抵そういう人、あえてののしらなかったりするんだけれどね。「あんたの思う通りには動かないわよ」って。苦笑)。
考えるに、自虐もそういうしきたり/売りのひとつ。
自分のことをあえて下げ、それによって笑いを演出することで、お客様が自己開示しやすい環境を作っていくという、「飲み屋」あるあるの戦法だなぁと、あたしは従事者としてそう素直に思います。
(他者と関わり、会話をその仕事の中心とする人の中には、似たような戦法を駆使する方も、飲み屋に限らずいらっしゃいますよね。)
でもさ、本当にぽっちゃりさんが書いてくれている通りなんだけれどね。
この「夜の魔法」は、やっぱり日が暮れた世界じゃないと有効打にならないことも多いみたいで。
なんならもはや「自分も含め、誰かを否定することで成立する笑いは、もう時代遅れ」という感覚が、社会では一般的。
「いいマインドセットのために、ポジティブなセルフトークをしましょう」(カタカナ多くね?(白目))といった言説が、SNSを中心にひろく流布しているわけです。
そりゃ自虐ネタを言った場合、周囲から「気を使われてしま」う結果になっちゃうわけよね。
夜と昼には、小さくない乖離があるとも言えるでしょう。
ぽっちゃりさんやあたしが、生き残るために自分たちなりに、おのれの生きている世界のなかで身につけてきた話術。
どうやらそれは、別の時間帯だと古いもの、過去のものになりつつあるらしい。
でもだからといって、自分たちの話し方をいきなり変えられるかというと、そうはいきませんよね。
長年身に染み付いた習慣って、一朝一夕では抜けないはずだもの。
ぽっちゃりさんの戸惑いと苦しみに、大いに共感しながら。
今回のお手紙のなかからは、おのれ自身の未来につながる課題が見出せるなぁとも、あたしは感じていたりするのでした。
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