
精神的に追い込まれているDV被害者にとって、大切なことは“心から安心できる環境”を整えることです。
長年、DV被害者の支援に取り組む『女のスペース・おん』の山崎菊乃代表も、かつては子どもを連れて、シェルターに逃げ込んだ1人でした。
「彼女が、彼のところに戻らないような安心した状況を、周りでよってたかって作り出す。それは私たち民間団体だけじゃなくて、行政、司法いろんな関係機関が被害者を守る」と話します。
この日、『女のスペース・おん』の事務所を訪ねてきたのは、父親のDVなどから逃げるため、4月にシェルターへと入居した、花さんです。
「私はそれこそ、小学生のときにまだ“モラハラ”という言葉がなくて…」と話す花さん。
山崎菊乃代表が「最近だよね、モラハラという言葉が知られるようになったのは」と答えると、「“不機嫌ハラスメント”ってまさに、父親を表しているなと思って」と花さんも続けます。

花さんは、うつ病となった母親の介護をするヤングケアラーでもあり、自身も摂食障害などに苦しみました。
いまも家族との関係に悩みはある中、仕事をしながら一人暮らしをしています。
山崎菊乃代表は「一人で抱えないでね、一緒に共有しよう」と話します。
DVだけではなく、虐待を受けた経験や精神疾患、若年妊娠など、さまざまに困難を抱える女性たち。
その困難に即した支援の在り方が模索されています。
DV被害者が外部に被害を訴えにくい背景には、幼いころ虐待を受けた経験や精神疾患、貧困などの課題が重なっているといいます。
DV被害者の支援にあたる団体『女のスペース・おん』では、厚労省や道、札幌市など行政を巻き込んでシンポジウムを開き、被害者が1か所(ワンストップ)で、さまざまな行政の窓口や支援団体につながり、長い支援を受けられる仕組みが必要だと訴えています。

民間だけでなく行政も、シェルターを運営したり、ホットラインなどの窓口を設けたりしています。
民間のみ、行政単独といったものではなく、それぞれが連携し、互いに強みのある支援を進めていくことが、DV被害者に手を差し伸べるためには必要です。
DVをめぐる課題は複合的であることから、その解決は一筋縄ではいきません。だからこそ、支援の在り方は個人個人のケースにあった切れ目のない対応が求められるということです。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年9月29日)の情報に基づきます。
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