北海道旭川市の子どもたちに親しまれた「駄菓子屋さん」が、9月30日、半世紀にわたる営業を終えました。
笑いあり、涙あり、最後まで温かな場所でした。
旭川市の「三谷商店」。創業は昭和31年。
12畳ほどの小さな店が最終日、大いににぎわいました。
店を切り盛りする三谷悦子さん(75)。
子どもたちからは「おばん」と呼ばれています。
義理の父から受け継いだ雑貨店に、40年ほど前、女の子からの進言で駄菓子を置くと、放課後の子どもたちが集まるようになりました。
子どもたちとのおしゃべりが大好き。
写真や会話を綴った「お得意さまノート」も200冊を超えました。
三谷さんは「みんなインスタやってるって言うの。時代に遅れたくない」と話します。
ことし75歳の「おばん」。
子どもたちに刺激を受け、一緒に「成長」してきました。
「頭も少し鈍くなってきて。物覚えも少し悪いなと思って」
ことしの正月「おばん」は、年内に、店を閉じることを決断しました。
「来られない友だちも、『おばん』にお手紙書きたいって」
寄せ書きを持ってきたのは、5歳のころから店に通う山田栞穂さん。
結婚することを報告しました。
三谷さんは「おばんが辞める前に決まってよかった。ずっと気がかりだった」と言います。
4年前、婚約者を事故で亡くした山田さんを、「栞穂は幸せになれる」と言葉をかけ続けてくれたのは「おばん」でした。
「頼むぞ!パパ。宝だから。本当に子どもはすごい」
親子2代の「お得意さん」も。
多くの人が「おばん」に会いに駆けつけました。
常連客は「中学から通っている。居場所というかさびしいというか…」と話します。
店のお菓子が残り少なくなると、にぎやかだった店にさびしさが募ります。
「しっかりせえよ!泣けないでしょ」
みんな、かわいい「お得意さま」たち。
最後まで「おばん」らしく気丈に振舞います。
「感謝でいっぱい。それしかない。言葉が出ない。子どもの手紙を読んで少しずつ感慨につかろうと思う」
お小遣いで買った駄菓子の味。
秘密基地のような店のにおい。
おばんからもらった言葉は、「お得意さん」の心に生き続けます。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年10月1日)の情報に基づきます。
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