2025.10.16
暮らす2022年12月31日、大みそか。
KEETSのある円山西町では、児童相談所などの敷地で、クマが目撃されました。その後クマは敷地の中を歩き、柵を越えて住宅地のほうへ移動したと見られています。
後藤さんはそのとき、日課のランニングに出かけようとしていました。
いつものコースに入ろうとしたそのとき、近くのマンションから、住民が窓を開けて、「クマいる!」「そっち行ったらダメ!」と後藤さんに叫んだといいます。
少しタイミングが違えば、クマと出会ってしまっていたかもしれない…。
クマとの距離が近づきすぎていることを痛感したできごとでした。
円山西町ではその後、町内会が主体的に動き、クマについての勉強会や、対策を話し合うワークショップを開催してきました。
実際に、きょう2025年10月16日、円山西町ではクマの目撃がありました。
ですがその前から、町内会は最近の札幌市内の出没状況を見て、「自分たちのまちにも、ひとごとではない」と考え、注意を呼びかけたり、登校の見守り活動をしたりしていました。
さらに、それぞれがスマートフォンから地域の情報を得られる「デジタル掲示板」への参加を呼びかけ、出没時にすぐに情報共有できる体制づくりにも取り組んできました。
いざ地域内で目撃されたきょう、住民自らが自治体のお知らせよりも早く出没を知らせ、「家から出ないで」と声をかけ合いました。
日ごろから意識と備えをしていたからこそ、いざというときに命を守る動きができるということを実感する一日でした。
札幌市は、クマと人が住む場所の境界線を作り、「すみ分け」をすることを目指しています。
多くのクマは人を恐れ、避けて暮らしていますが、一部のクマは、さまざまな要因で住宅地に繰り返し現れたり、人に危害を加えたりするようになります。
そうした「問題個体」は、やむを得ず駆除することがあります。
後藤さんも住民のひとりとして、町内会の勉強会に参加し、知識や考えを深めてきました。そして、クマが身近な円山西町に住み、革製品を扱う仕事をしている、自分だからできることを考えました。
「駆除された命を、暮らしに息づく革製品へと変えたい」。
「その小さな循環を、次の命につなげたい」。
そう考え、ヒグマの革製品を作るためのクラウドファンディングに挑戦しています。
集まった資金は、製品の製造のほか、町内会のクマ対策にも充てるといいます。
「ひとごとじゃない問題で、本当に身近にヒグマがいた。このまちに住んでいて、こういう仕事をしている自分が、やらない手はない」
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