2025.10.16
暮らす北海道札幌市では、9月26日、西区平和丘陵公園で犬の散歩をしていた43歳の男性が、クマとの事故で右腕にけがをしました。
中央区や南区でも出没が確認されていて、注意が呼びかけられています。
出没情報が相次いでいる最中は、常に最新の情報に気を配り、危険な兆候がある場合は夜間や明け方の外出を控える、複数人で行動するようにするなど、注意する必要があります。
ただ、北海道では広い範囲で、毎年クマの出没が相次ぎます。
緊急時に命を守る行動をとるのはもちろん、「その後」も大切です。
クマがいる北海道で、どう暮らしていくのか。
今回は、自宅のすぐ近くにクマが出た札幌市民が、「自分だからできること」を見つけて始めた挑戦をご紹介します。
連載「クマさん、ここまでよ」
2022年12月31日、大みそか。
札幌市中央区円山西町に住む後藤晃さんは、日課のランニングに出かけようとしていました。
いつものコースに入ろうとしたそのとき。
「そっち行ったらダメ!」
近くのマンションから、住民が窓を開けて、後藤さんに向けて叫びました。
「クマいる!」
札幌の雪深い冬。昼間の住宅地。自宅のすぐ近く。
クマがいるとは想像もしておらず、後藤さんは「何を言われているんだろう?」とすぐには理解できなかったと言います。
その日の午後0時半過ぎ、円山西町にある児童相談所などの敷地で、クマが目撃されました。その後クマは敷地の中を歩き、柵を越えて住宅地のほうへ移動したと見られています。
初詣客が訪れる北海道神宮や、円山動物園の近くということもあり、地域には緊張が走りました。
後藤さんは、「山は近くにはあるので、クマがいるとは思っていた。それでも、まさか住宅地に入ってくるなんて、想像もしていなかった」「小学生の子どももいるので、本当にこわいと思った」と振り返ります。
少しタイミングが違えば、クマと出会ってしまっていたかもしれない…。
その体験をもとに、後藤さんは「自分だからできること」を考えるようになりました。
約2年後の冬、後藤さんは、町内会の回覧板でまわってきたお知らせに目を留め、一歩を踏み出します。
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