2025.09.26

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セクシャリティのつらい経験と混乱…あなたの「物語」を紡ぎ直してほしいから伝えたいこと【お悩み#94】

当事者たちの中にもさまざま違いがあっても…

ことしのプライドパレード

もちろん、当事者たちの中にもさまざまな違いがあります。

あたしの場合は、「男性」というマジョリティ性をたまたま持っている人間です。

なので、Beniさんが受けることになってしまった「強い支配」については、それを外部から被るリスクが低い状態で、これまで生きてこられたような気がしているのよね。

そうした「偶然恵まれていた」という側面があることを、あたしはこうした話題について触れるとき、自身の特権性としてきちんと認識しておかねばと、毎度思っているんだけれど。

そして、だからこそ、誰かが歩むことになった悲しい経験について、気軽に「わかる」とは言うべきではないとも思っているんだけれど。

それでもお手紙に書いてあった、「自責の念や罪悪感」「屈辱感」を抱きながら、「ガラガラと崩れた自分を必死に組み立て直しては突き崩される、というループ」にハマってしまい苦しむというのは、自身の経験として似たような事態にしっかり心当たりがあります(昔、絶対にゲイだと確信しているのに、「バイセクシャルかも」という語りで、いろんなことを誤魔化そうとした時期が。あの時は混乱していたし、辛かった記憶があります)。

最近「自分は小さいころからすんなりゲイとして生きてきた。困るとか迷うとか別にない」と語る、若き当事者インフルエンサーも出てくるようになりました。

それ自体は、喜ばしいことなのかもなと思います。
当事者にとって混乱なく生きる道が、広く開かれてきている証拠なのかもなと、考えることがあったりもします。

ですが、Beniさんのように。
セクシュアリティという点から、望まぬ迷いや乱れがおのれのうちに巻き起こり、アイデンティティや尊厳を損なってきたLGBTQたちは、これまで事実存在してきたし、ときにその存在自体を脅かされてきました。

カミングアウトすることに、リスクすら未だ伴う社会です。
そこからもわかるように、性的マイノリティは「自分の世界をかき回される」だけでなく、その世界があること、この世界に居ることそのものをかき消されてきがちだったのです。

だからこそ。Beniさん。
何度でも言うけれど、あなたがサバイブしてきてくれて、本当によかった。
同じくセクシュアリティに混乱を抱えたことのある身として、あたしは本気でそう思っています。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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