現場の不安の声を受けて、北海道猟友会はすべての支部に向けて、「市町村から要請を受けたとしても、状況を確認して発砲に疑念がある場合はハンターの判断で中断または中止できる」と通知しました。
北海道猟友会の堀江篤会長は「撃ったあとどうなるかの心配をなくしてほしい。安心して発砲・捕獲できる体制をしっかりと作ってほしい」と話します。
人里での迅速な駆除には、関係者の連携とハンターが安心して発砲できる環境づくりが求められています。
緊急銃猟によって、クマの駆除がどう変わるのか、整理しました。
これまでは、市街地での猟銃発砲は禁止されていました。
ただし、人への危険が生じた緊急時には、警察官の命令によって使用できるルールでした。
9月1日からは、市街地や農地、商業施設など「人の生活圏」で使用が可能になり、市町村の判断でも撃てるようになりました。
これまで禁止されていたヒトの生活圏での発砲ができ、撃つかを市町村が判断するので、駆除の迅速化が期待されます。
これまでの警察官の命令・判断も適用されるということです。
どんなときに撃てるのかについて、4つの条件全てを満たす必要があります。
1)ヒトの生活圏にクマが侵入
2)ヒトへの危害を防止する措置が緊急に必要
3)銃猟以外の方法で駆除が難しい
4)銃猟によって人の生命・身体に危害が及ぶおそれがない
HBCテレビ「今日ドキッ!」のスタジオでは、ゲストの平野龍一さんが「できるようになったことと、実際に発砲する許可を与えることは、次元の違う話だと思う」とコメント。
「自治体の担当者も、判断のスピードや適正な判断をしているかどうかについては、決断ができるかどうかが肝になってくる」と話しました。
◎駆除について
「クマの背後に山があるなど安全に発砲できる状況では、速やかな発砲ができ、大きな前進」
◎ただし、限界も…
「札幌市の住宅街のような本当の街中では、周りへの被害を考えると発砲は困難」
◎制度を有効に活用するためには…
「事前に、市町村と警察、猟友会などが役割分担や課題を十分話し合っておくことが大事」
クマについて「知ることで防げる被害」もあります。HBC北海道放送の特設サイト「クマここ」では、北海道内から集められた教訓や知恵を紹介しています。
ゲストコメンテーターの満島てる子さんは「『緊急銃猟』によって、実際に出動する人たちの安全や安心感が担保できているのかということが気になる」と話します。
「街中にハンターが出動してクマを撃つことになったときに、発砲の責任はだれが負ってくれるのかというのが大事だと思うし、クマと向き合うハンターの皆さんだけだとおかしい」
「システムに問題があるので、猟友会の人たちも発砲の中断が可能と通達しているわけで、制度を作る以外に、たくさんやらなければいけないことがあると思う」
酪農学園大学の佐藤喜和教授は「捕獲だけですべての問題を解決できるわけではありません。クマをひきつけないごみや畑の管理など、クマに強い地域づくりが安全な暮らしにつながる」と話しています。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年9月1日)の情報に基づきます。
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