2025.08.31
深める登山道にクマが突然現れたときに、しっかり対処できるのか、クマスプレーをリュックに入れた場合と、腰ベルトに装着した場合で実験をしてみました。
クマ役の人にタッチされる前に噴射できればOKというルールです。
なお、クマスプレーは中身が水になっている訓練用のものを特別に使用しています。
本物のクマスプレーは大変危険なので絶対に人に向けないでください。
突如現れたクマ(役の人)に驚いて、冷静にクマスプレーを探すことができませんでした。
クマの目を見ながら、リュックのひもを緩めたり、チャックを開けたりすることはほぼ不可能に思えました。
結局クマスプレーに触ることすらできないまま、クマにタッチされてしまいました。
続いて、腰ベルトにクマスプレーのホルダーを通して携帯してみると…。
クマが出てきたときに、すぐスプレーに触ることができました。
かかった時間も、焦る気持ちもリュックに入れたときと比べて雲泥の差。
無事噴射することができました。
リュックを漁っているとき「あれ…⁉ここに入れたはずなのに見つからない!」となった瞬間、ものすごく焦りました。
すぐスプレーに触れられることは心理的にもかなり心強いです。
ただ、私の感覚的には1メートル切ったくらいのギリギリの距離でスプレーを噴射したつもりでしたが、周りで見ていた方々いわく「3メートルくらいはあったよ」とのこと。
風向きによってはかなりの至近距離にならないと、クマにスプレーが届かない場合もあるということなので、届く距離まで引き付けてから噴射するというのもなかなか難しいと実感しました。
「クマに出会ったら」「出会わないためには」の基本の知恵は、HBCのサイト「クマここ」で、専門家監修のもとまとめています。
どのメーカーのものを使うかにもよりますが、一般的に、スプレーが届く範囲は最低4~5メートル、風などの条件が良くても10メートルほど。
4~5メートルというと、だいたいタクシーの大きさくらいです。
(製品によりますので、詳細はお使いのクマスプレーの仕様書をご確認ください)
スプレーは、クマの目と鼻をめがけて噴射します。
風向きや距離、噴射する方向、秒数など、気を付けなければいけないポイントは多くあります。
スプレーの有効期限が切れていないか、ストッパーがついたままになっていないかなどの確認も必要です。
クマスプレーを持っておくこと、さらに使い方を事前に確認しておくことや、すぐに使えるように腰につけておくことの大切さを実感しましたが、同時に、クマスプレーを持っているだけで安心とは言えず、難しさもあることもわかりました。
まずはクマに出会わないための対策を。その上で、それでももしも出会ったときのための備えもしておく必要性を体感しました。
今回の「一日山岳救助隊長」体験では、もう一つ、道警が民間企業と連携して始めた、遭難時の迅速な救助のための活動も取材しました。続きは次回の記事でご紹介します。
※北海道の山に登るときは、クマについても知っておきましょう。「クマに出会ったら」「出会わないためには」の基本の知恵は、HBCのサイト「クマここ」で、専門家監修のもとまとめています。
文:HBCアナウンサー・堀内美里(ほりうち・みさと)
北海道生まれ・北海道育ち。2021年入社。HBCテレビでは「グッチーな!」「ジンギス談」「吉田類 北海道ぶらり街めぐり」「大江裕の北海道湯るり旅」などを担当。登山歴4年。おいしくごはんを食べるために山に登っています。登山の魅力はインスタグラムでも発信中
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は取材時(2025年8月)の情報に基づきます。
■連載「堀内美里の言いたいことは山々ですが」
■「クマに出会ったら」「出会わないためには」基本の知恵:「クマここ」
■天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!:連載「お天気コラム」
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