2025.08.24

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「シャンコシャンコ」北海道民に刻まれた子供盆踊りに宿る 忘れられない音の記憶

「シャンコシャンコ」は石狩という世界でないと出てこなかった

坪松一郎さん(1947年ごろ)叢書 江別に生きる5より

ジャケットに記された「北海道教育委員会選定」の記載を元に北海道教育委員会に早速、話を聞ききました。

「作詞は1951年に、当時江別市で教員をしていた坪松さんにお願いしたと聞いている」

作詞したのは江別市の教員、坪松一郎さん。
発祥の地・江別には、その功績を称える詩碑が建てられています。

さらに、気になる呪文のような謎の歌詞。

「シャンコ、シャンコ、シャンコ、シャシャンがシャン」

「シャンコシャンコ」には、忘れられない音の記憶が刻まれていました。

2001年のHBCの取材で、江別文学の会の望月芳明さんがその背景をこう話していました。

「馬そりがシャンシャンシャンシャンと消えていく音。この音が出てくるのは、石狩という世界でないと出てこなかっただろうと思う」

では、なぜ、この歌が作られたのでしょうか。

時は戦後の混乱期…

叢書 江別に生きる5より(1952年ごろ)

理由は、戦後の混乱期を生きる子供たちへの深い愛情でした。

「1951年なので戦後で子供向けの娯楽や子供の健全育成などを考えて作ったと推測される」

日本の主権が回復し、連合軍の占領が終わった1951年。
子どもたちは、戦争で受けた心の傷が未だ癒えず、娯楽も食糧も不足していました。

1966年

そんな子どもたちを元気づけようと「子どもの盆踊りを作ろう」という声があがったのです。
依頼を受けた坪松さんは、心から喜んだといいます。

坪松シゲさん(1997年)

坪松一郎氏の妻、坪松シゲさんは1997年、HBCの取材にこう答えてくれていました。

「道庁から依頼が来たときは、随分喜んでいました。ようやく子どもに目を向けてくれたって。3~4日で歌詞を作った。できてから『これどう?』と見せてくれて、『あら、いいわね。どこでも聞けるし、これいいわ』と言った」

HBC報道部

毎日の取材で「気になるニュース」や「見過ごせない事案」を、記者が自分の目線で深掘り取材し、「ニュース特集」や「ドキュメンタリー」を作っています。また、今日ドキッ!の人気コーナー「もうひとホリ」「もんすけ調査隊」も制作しています。最近は放送にとどまらず、デジタル記事、ドキュメンタリー映画、書籍など、多くのメディアで展開して、できるだけたくさんの人に見てもらえるよう心掛けています。北海道で最初に誕生した民間放送の報道部です。

https://www.hbc.co.jp/news/

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