2025.08.28
育む子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」、そして2児の母でもある、HBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)がご紹介します。
聴覚障害がありながらもプロ野球選手になるという夢を実現した、元北海道日本ハムファイターズの石井裕也投手の姿を描いた絵本が話題になっています。
夢を諦めそうになっている人に希望を届けたい!
帯広在住の絵本作家おがわひろきさんに、製作のきっかけや絵本に込めた想いなどをお聞きしました。
併せてHBC野球実況アナウンサーによる絵本の朗読動画も公開しますので、ぜひご覧ください!
絵本のモデルとなった石井裕也(いしい・ゆうや)さんは、野球に詳しくない私でもすぐにわかるほど、その活躍が強く記憶に残っている投手です。
2004年にプロ入り、2010年からは北海道日本ハムファイターズでもプレーしました。2018年に現役を引退するまで、14年間で330試合に登板。
現在はファイターズの打撃投手を務めています。
そんな、我が北海道とも縁が深い石井裕也さんをモデルに絵本を描いたのが、十勝出身の絵本作家・おがわひろきさん。
おがわさんは約10年前から、帯広などで障害児向け放課後等デイサービスなどを運営。
障害福祉に携わるなかで、帯広聾(ろう)学校に石井さんを招いたことがきっかけで、交流が始まりました。
おがわさん自身、小学生のころから少年野球でキャプテンを務めるなど、野球が大好き!
石井さんとの交流を通して感じたことや学んだことを、子どもも大人も楽しめる“絵本”という形で伝えることにしました。
障害福祉の啓発のみならず、仲間や監督に支えられながらプロ入りの夢を叶えたという石井さんの生き方を多くの人に知ってもらうことで、 夢をあきらめない希望につながるような絵本にしたい と話します。
絵本の印税は、野球振興のための基金に寄付されます。
おがわさんが1番大切にしているのは 「耳が聴こえないことが弱いことと思っていたのに、耳が聴こえないことが強いことになったように思われました。」 という言葉です。
物語の中で野球チームの監督が 「裕也は目で見る力が本当にすごいな。集中力と反応の速さは誰にも負けないね。」 と褒めています。
耳が聴こえないことこそが、石井さんの強み!
自分の弱さ(短所)も、環境や視点が変われば強み(長所)になる ということを教わりました。
おがわさんは、さまざまな場面で、絵本の読み聞かせ活動も行っています。
実はおがわさん自身も読み聞かせしているうちに、伝えたいメッセージが「じぶんごと」として重なりました。
今まで“絵本作家なのに絵が描けないこと”を自分の「弱み」だと思っていたおがわさん。しかし、絵が描けないからこそ、それぞれの作品にあったイラストレーターに描いてもらえるという「強み」になっていることに、読者の立場になって気付いたのです。
この絵本『きこえなくたって』も、柔らかくて優しいタッチの、小川さんにとって理想のイラストでした!
誰だって、自分の弱みは隠したくなるものですが、もしかすると その弱みは、他の人から見れば強みかもしれません。
あなたが輝ける場所は必ずある。
そんな勇気をくれる物語です。
【参考】
『きこえなくたって~みみのきこえないプロやきゅうせんしゅのおはなし』
文: おがわ ひろき
絵: いしい つとむ
ISBN: 978-4-909809-64-3
ページ数: 40ページ
サイズ: 235 x 235 x 10mm
本体価格: ¥1,700
シリーズ名: imagination unlimited
刊行: 2025年4月30日
【取材協力】
南幌町子ども室内遊戯施設「はれっぱ 」
****
文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
HBCラジオ「清かなる朗読」(月曜あさ4時30分~)、Instagramも更新中!
編集:Sitakke編集部あい
■同じ絵本を「また読んで!」とせがむ子どもの心の中とは…アナウンサーが13年続ける読み聞かせ
パートナーメディア