2025.08.16
暮らす8月9日、札幌市内の河川敷です。
生い茂る草やぶの中に、何人かの人がいるのは見えると思います。
では、そのすぐ近くにいる「クマ」は、見えるでしょうか。
中央の、ピンク色のテープが巻かれた白い木のあたりに、体長1.3メートルほどのクマの等身大パネルが置いてあるのですが、肉眼でも角度を変えてもまったく見えませんでした。
ここに、なぜクマとの事故が起きるのか、その理由の一つが隠れています。
ここにいる人たちは、その理由を取り除き、クマの住宅地への侵入を防ぐために集まりました。
悲しい事故が相次ぐ今、10年以上前から地道な対策を続けている地域を通して、できることを考えます。
連載「クマさん、ここまでよ」
札幌市南区の石山地区。2013年に地域でクマが出没し、その翌年から毎年、住民らが集まり、勉強会とクマ対策の実践を続けています。ことしで12年目です。
ことしの勉強会では、クマを研究する酪農学園大学の学生が、基本的な生態や人との問題が起きやすい時期についてレクチャーをしました。
冒頭で触れたのは、先月、福島町で起きた人身事故です。新聞配達員の男性が、クマに襲われて死亡しました。現場は、歩いて5分ほどの距離に小学校もある住宅地。近くに住む人が、男性がクマに草やぶの方向へ引きずられていくのを目撃していました。
勉強会で、学生は「先ほどみなさんが河川敷にいたときも、クマの等身大パネルが隠れていることに気づいた方は少なかったのではないでしょうか。私も気づきませんでした」と語りかけました。
クマは背の高い草に身を隠して移動することを好みます。みどり豊かな北海道では、住宅地にも多くの草やぶがつながっていて、「クマの通り道」ができてしまっています。
気づかないうちに、クマがすぐ近くにいる…そんなリスクのある場所が、多くあるのです。
近所に草やぶはあっても、クマが隠れられるほどではない…と思うかもしれませんが、こちらは住宅地でよく目撃される平均的な若いオスのクマの大きさで作った等身大パネルです。
鼻先からお尻まで130センチ、足もとから肩まで、およそ90センチ。小学生の身長ほどの高さの草があれば、全身が隠れることになります。
福島町では事故の前から、目が合うと近づいてくるクマが目撃され、荒らされたごみ箱も見つかるなど、「問題個体」とされるクマが確認されていました。そうしたクマは行動が変わってくるため、個人の対策では足りず、行政の速やかな対処が必要です。
一方で、本来は人を避けているクマであっても、草やぶを移動して気づかないうちに人と近づいてしまうと、自分を守るために人を攻撃することがあります。
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