2025.07.10

食べる

「ハヤシライスが、恋しくなってきた。」函館・五島軒本店の王様椎茸のハヤシビーフ。【前編】

最大の特徴は、その具材だ。通常であればマッシュルームを使うところ、ここでは椎茸を。さらには玉ねぎを使うところ、ここではタケノコなのだ。これは登場当時の食糧事情が関係しており、マッシュルームや玉ねぎはその時代の函館では入手困難だったため、その代用品として使われたのがこれらの食材だったと推測される。五島軒ではこの具材の特殊性を際立たせるために、2020年代に入ってからは全国品評会で日本一に輝いた七飯町産の「王様しいたけ」を使用。一方のタケノコや牛肉は昔から国産にこだわり、特に牛肉はきめ細かい肉質と濃厚な味が特徴的な稀少部位・ブリスケ(牛の前脚の内側部分)を使うことで、さらに贅沢な味わいに。ハヤシライスそのものの美味しさと同時に、五島軒の料理の生命線であるデミグラスソース本来の味が楽しめる。

『七飯産王様椎茸のハヤシビーフ』2,970円(サラダ・ライス付)。材料を仕入れて、仕込み、ルーを完成させて客に出せる状態にするまで5日間かけるという徹底ぶり。ちなみに五島軒で「王様しいたけ」が使われるのは、通常メニューではハヤシライスのみ。

気軽に味わうならレトルト(パックと缶詰)がおすすめ。赤ワインと完熟トマトを伝統のデミグラスソースで煮込んだ味をそのままに。

【五島軒本店】
北海道函館市末広町4-5
0138-23-1106(代表)

後編を読む:ナントカ食堂リンク

***
Peeps hakodate vol,137 「恋しい味。」より

peeps hakodate

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