2025.06.30

食べる

「あなたにも、チェルシー もう一度あげたい」道南食品による『チェルシー』復活劇。

道南食品による明治のロングセラー『チェルシー』復活劇。

おそらく30代以上の日本人であれば誰もがすぐに脳内再生できると思われる「♫ほーら チェルシー もひとつ チェルシー♫」という印象的なCMソングと、そのあとに続く「あなたにも チェルシー あげたい」のキャッチフレーズ。

1971(昭和46)年に明治から発売が開始されたキャンディー『チェルシー』の販売が終了するというニュースがリリースされたのは、2024年3月のこと。国産菓子を代表するロングセラーだっただけに、この一報には全国のファンが嘆き悲しんだ。しかしその水面下では、「長年親しまれてきたチェルシーをなんとか継続させたい」という明治の意向を受けて、子会社である函館の道南食品株式会社がブランドの引き継ぎと、まったく新しい形でのチェルシー復活という大きな命題に向けて開発を進めていた。

そして半年間の開発期間を経て、同年9月にこれまでのハードタイプとはまったく異なる“生食感”のチェルシーをリリース。新しい北海道土産品として流通させ、売上も好調だ。

開発担当グループの一人である木村幸乃さんにとっても、このプロジェクトは大きな挑戦だった。木村さんを含む若い開発担当者たちの前に立ちはだかったのは、チェルシーという商品に対する認知と距離感だ。

「もちろんチェルシーは子どもの頃から知っているお菓子で、食べたこともあります。でもすごく親しみのあったお菓子かといえば、必ずしもそうではないんです。昔からチェルシーの味を知る方々に満足していただくために、まずはその認識を改めて、チェルシーというブランドの扱い方や立ち位置の理解から深めるところから始めました」

幸いにも、道南食品の社内にはチェルシーに慣れ親しんだ50〜60代の社員が複数いたため、ヒアリングを重ねてアドバイスを蓄積していった。さらにもう一つ、大きな存在となったのは常務取締役で技術・開発部長の北岡宣幸さんだ。北岡さんは長らくチェルシーの開発・研究の現場に籍をおき、商品企画全般にも携わった人物。今回のプロジェクトでは、その経験をもとに開発グループを全面的にバックアップした。

ハードタイプから、生食感タイプへ。開発グループは食感の土台そのものを大きく変えた上で、多くの人々がよく知る“あの味”を再現。さらにそこへ北海道色を出すために道産発酵バターを使用し、おなじみのパッケージデザインも絶妙なバランスでリニューアル。こうして見事に現代的なアップデートを果たした新生チェルシーが函館から誕生した。

現在は王道の「バタースカッチ味」が発売中で、続く「ヨーグルトスカッチ味」がふるさと納税の返礼品として限定リリース。こちらも一般販売に向けて準備を進めている。

peeps hakodate

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