2025.06.08

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北海道の廃校に超機密情報が…高性能ロケットエンジン開発へ宇宙ビジネスの最前線

開発には高度な「機密情報」が

Letara(レタラ)は、札幌に設計部門などを置き、滝川市江部乙にある廃校になった中学校の校舎跡で、エンジンの組み立てや実験を日々重ねています。

取材を進めていると、コンテナの前でカメラ撮影を止められました。

鉄製のコンテナ内部には、実験機が設置されているが、高度な機密情報が詰まっているため、接近も撮影も一切NG。

まもなく燃焼実験が始まろうとしていましたが、許されたのは離れた場所から眺めることだけ。

交渉の末、撮影範囲を炎の噴き出し口に限ることで、固定カメラの設置が許可されました。いよいよカウントダウンが始まります。

「10・9・8・7…」

カウントダウンが終わると同時に、超高性能エンジンの噴射口からオレンジの炎が、勢いよく吐き出されます。

Letaraが開発中の高性能エンジンの最新実験機(北海道滝川市)

何度となく重ねられた燃焼実験ですが、最新のタイプの実験機では5秒が最長記録。

今回はどこまで続くのか…
炎が噴出口から消えたのは、20秒後でした。

実験は大成功。
若きエンジニアたちから歓喜の声と、力強い拍手が起きました。

最新タイプの実験機では、燃焼で高温になるエンジンを冷ます改良を加えました。
その結果、燃焼時間はこれまでの4倍にまで伸びることとなったのです。

Letara(レタラ)の糸魚川大和さん「燃焼実験で20秒をクリアできたというのは将来、お客さんに売っていく時に大きなマイルストーン(到達点)になった」と自信をみせます。

Letara(レタラ)共同代表のケンプス・ランドンさんによると、今の宇宙輸送技術は「かなりリスクが高いもの」なのだといいます。

「リスクは爆発する…ドンと。1~3%で爆発するそんな車や飛行機には乗らない。まずは、そのバリアを突破することが最初の仕事だと思っている」

もう一人の共同代表・平井翔大さんは「いま世の中にある人工衛星用のエンジンは、危険なものか、安全ではあるが、非常に速度が遅いもの。このトレードオフをわれわれの技術でなくしていきたい」と話していました。

Letara(レタラ)では将来、開発した超高性能エンジンで、人工衛星だけではなく、月や火星にも到達するパワーを備えたいとも考えています。

HBC報道部

毎日の取材で「気になるニュース」や「見過ごせない事案」を、記者が自分の目線で深掘り取材し、「ニュース特集」や「ドキュメンタリー」を作っています。また、今日ドキッ!の人気コーナー「もうひとホリ」「もんすけ調査隊」も制作しています。最近は放送にとどまらず、デジタル記事、ドキュメンタリー映画、書籍など、多くのメディアで展開して、できるだけたくさんの人に見てもらえるよう心掛けています。北海道で最初に誕生した民間放送の報道部です。

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