2025.06.04

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10年越しの「オリジナル焙煎機づくり」ここに完結。【peeps hakodate】

そして時は流れて2025年、ついにオリジナル焙煎機は完成の日の目を見た。設計と制作を担当したのは川崎さんの親族であり、元函館どつくの造船技師である宮森護さん。さらに北斗市の工作機械器具製造『正和工機』が携わり、電気系統は赤川町の配電盤設計・製造『白戸電気制御』などが担当。まさに函館を中心としたチームによるオール道南メイドの焙煎機である。

特筆すべきは豆の入ったドラムに火を当てるバーナー部分。ここに火力の強い中華バーナーを3本設置し、なおかつ着火部分とドラムの距離を調節できる可動式にした。これにより豆を火の先端で焼く、または火の深い部分で焼く、さらにその両方を時間ごとに変えながら焼くなど、焙煎方法のバリエーションが広がった。

「わざわざ無理を言ってこうしたのは、細部まで焼き方や味の違いが出せるようになることで、お客さんが本当に求めるコーヒー豆を生み出す可能性を広げるため。いままではお客さんが僕に味のイメージを伝えるまでだったものが、お客さん自身が生豆を選んで、味を決めて、焙煎の細かな方法まで決めることができる。そして僕はそれに従って、お客さんが求めるコーヒーを焼く。その人、その店の完全オリジナルの豆をこの焙煎機でつくりたかったんです」

このたび完成したオリジナル焙煎機。本文で触れたとおり、バーナー部分は火を近くしたり遠くできる可動式にすることにこだわった。どんな最新式の焙煎機でもそのような機能はない。「昔から『遠火の強火』って言葉に弱いんです。火と豆の距離を微調整したところでどこまで違いが出るかわかりませんが(笑)、これだけは叶えたかったんです」。

peeps hakodate

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