2025.05.20
深めるさまざまな意見が飛び交う形となった「ススキノゼロ番地」に関する投稿。
しょーこさんにもう少しお話を伺いました。
――ススキノゼロ番地に“趣がある”と感じた具体的なポイントはどこでしょう?その理由を教えてください。
しょーこさん:古い建物なので、昭和レトロな雰囲気と存在感があるところです。
一般的な市場と同じく、朝に活気があるそうですが、私が訪れた時間は量り売りの駄菓子屋さんが営業していて、風情がありました。
――昼間と夜の雰囲気の違いは何だと思いますか?また「昼のすすきの」ならではの魅力、おすすめの時間帯があれば教えてください。
しょーこさん:すすきののど真ん中なので、夜はネオンが輝き、人通りも多くにぎやかな雰囲気ですが、昼間は比較的静かでローカルな雰囲気が漂っていますね。
また、時間によっては肉まんやチマキ等を蒸す湯気や、24時間営業の「にぎりめし」のいいにおいが漂ってくるので、ついつい購入してしまいます(笑)。
実は、すすきの市場の建物は一部が公営住宅として使用されていた時期もありました。
住宅としては、2階から5階までが都市基盤整備公団(現在の独立行政法人都市再生機構)の公営住宅「ススキノアパート(薄野団地)」として利用されていました。
その後、建物の老朽化などにより、居住エリアは閉鎖されました。現在は1階と地下のみが活用されているのです。
独立行政法人都市再生機構の広報担当の方に管理体制について尋ねたところ、「建物はRC造地下1階、地上5階の構造で、URは2~5階の賃貸住宅を昭和33年11月から管理していました。令和6年5月に株式会社札幌振興公社に引渡しを完了しました」という回答でした。
ちなみに住宅戸数は55戸だったそうです。閉鎖に伴い、現在は施錠されて中には入れません。かなり残念ですね。
道内最古の地下飲食店街として知名度があるものの、その独特の雰囲気が理由なのか、長年通う常連さんたちに大切にされている「ススキノゼロ番地」。
薄野ゼロ番地飲食業協同組合の公式HPでは、次のように説明しています。
その昔は殆どがスナックといった感じでしたが、時代の流れによりお店も入れ替わり、ベテラン世代から若者世代までが程よく混じりあい 造り物とは違った不思議な雰囲気に変化してきました
(薄野ゼロ番地飲食業協同組合の公式HPより引用)
すすきの市場自体も、ただ古いだけの商店街ではなく、昭和の歴史がそのまま建物に染み込んでいるような気がします。
再開発が進む札幌の中心部で、手で触れられるような“時間の証”が残っている場所は本当に貴重だと思います。
ススキノゼロ番地は、懐かしさを感じるだけじゃなくて、実際にこの街の記憶をかたちにして残しているような存在ではないでしょうか。
茶寮の湯気も、駄菓子屋の明かりも、地下飲食街の看板も、すべてが「今もここにある」ということがうれしい。
行ったことがある人はまたふと立ち寄りたくなるし、まだの人には、ぜひ一度体験してみてほしいスポットです。
<取材協力>
・しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん(X)
・AIRDO「昭和が香るディープスポット「すすきの0(ゼロ)番地」に潜入!(1)
・茶寮 すすきの店 札幌市中央区南6条西4丁目
※2025年3月取材時の情報です。最新の情報は店舗HP等でご確認ください。
文・取材:ゆきお
<プロフィール>
東京在住のWEB編集者兼ライター。札幌で働いていたことあり、再び札幌に住むことを目指す。SNSで道内の話題を探すのが好きで、日常生活で役立ちそうなネタを日々探索しています。
編集:Sitakke編集部あい
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