2025.05.19
暮らすそもそも地球の温度は、太陽からやってくる熱と、地球から宇宙に向けて放出される熱のバランスで決まっています。
そして、この熱が宇宙にすべて逃げてしまわないように、布団のような役割をしているのが大気中にある「温室効果ガス」(二酸化炭素やメタン、水蒸気など)です。
この温室効果ガスは、地球から放出される熱の一部を吸収し、再び熱として地表に戻す性質があります。
ただ、近年は車や工場、発電、森林伐採など、人間の活動によって、温室効果ガスのひとつ「二酸化炭素」が大量に放出されていて、現在は過去80万年間で前例のない水準まで増加しています。
温室効果ガスが大気中に増えることで、本来宇宙に放出されるはずの熱が地球にこもってしまいます。
その結果、地球全体の気温が上がる、現在の「地球温暖化」につながります。
地球全体の気温が上がることで、私たちの身近なところでも、変化がすでに現れ始めています。
例えば、サクラの開花が早まってきているのもその一つです。
そして今後、さらに温暖化が進んだ場合、以下のような変化がより顕著になると予測されています。
・これまで100年に一度の高温と言われていたような極端な暑さが、より頻繁に起こる
・極端な大雨やドカ雪の発生回数が増加する
・台風が、海水温の上昇によって今まで以上に発達する
・海面水位が上がり、低地や沿岸部に影響が出る
・オホーツク海の流氷の面積が減少する
簡単に言えば、これまで私たちが経験したことがないような気象災害が、より頻繁に起こるようになるということです。
そして、急激な気候の変化は人間だけでなく、多くの動植物にとっても住みにくい環境となり、北海道が世界に誇る農業や畜産、漁業など一次産業にも大きな影響を与えるかもしれません。
実は札幌の年間の平均気温は2021年以降、毎年のように過去最高を記録し、過去100年の気温上昇ペースも日本全体に比べて早いことが分かっています。
地球温暖化は「将来の話」ではなく、「現実に起きつつある問題」なのです。
将来的に変わり続ける可能性がある気候の変化について、まずは「知ること」がとても大切だと思います。
次回からは、将来の北海道がどうなっていくのかを、もう少し具体的に掘り下げていきたいと思います。
この記事を読んで、少しでも「地球温暖化」に興味を持ってもらえるとうれしいです。
連載「気象予報士コラム・お天気を味方に」
特別企画:地球温暖化と北海道の話~「日本の気候変動2025」を紐解く~
文: HBCウェザーセンター 気象予報士 篠田勇弥
札幌生まれ札幌育ちの気象予報士、防災士、熱中症予防指導員。 気温など気象に関する記録を調べるのが得意。 趣味はドライブ。一日で数百キロ運転することもしばしば。
HBCウェザーセンターのインスタグラムでも、予報士のゆる~い日常も見られますよ。
※掲載の情報は記事執筆時(2025年5月)の情報に基づきます
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