2025.05.14

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受刑者を「甘やかしているだけではないのか」刑務官の葛藤…“立ち直らせる”改革の今

「対話」のその先に

「浅野さんにさらに尋ねたいことはありますか?」

理事長の向井地さんが、ほかのメンバーに話を向けてみます。
ここからまた対話が動き出していきます。

「浅野さんは、いつも受身なんじゃないかな。これから受身じゃなくて、攻めたことをやっていけばいいんじゃないか」ほかのメンバーが話します。

ソーシャルワーカーからは「耳がすごい敏感になって、人の声が入ってこないっていうときは、もう自分の発信が足りないからなんじゃないかな」というアドバイスも。

かつて精神障害のある人は、閉鎖された病棟で薬漬けにされる、一方的な治療が当たり前でした。

しかし、退院すると受け入れ先が無くて路頭に迷ったり、社会生活で悩みを抱えて入院を繰り返したりすることが多かったといいます。

「やっぱり、悩むべきことはちゃんと悩んで、困ったことはちゃんと困って…。しかし、その代わりに、人に相談したり、人の力を借りたり…自分のことだから“みんなで一緒に研究しよう”って言って始まったのが“当事者研究”なんですよね」

向井地理事長はそう話します。

これは、ひたすら刑務作業を強いられた受刑者が、社会に出てから居場所がなく、犯罪を繰り返してしまうことによく似ています。

「やっぱり、第三者の力によって保護して管理して、服従を強いる構造によって、社会の治安が保たれるという構造から抜け出さないと駄目だと思います」

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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