2025.05.14

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受刑者を「甘やかしているだけではないのか」刑務官の葛藤…“立ち直らせる”改革の今

試行錯誤…「当事者研究」を学ぶ

刑務所では試行錯誤が続いています。

3月、月形刑務所の刑務官たちが訪れたのは、北海道日高地方・浦河町にある『べてるの家』という施設です。

メンバーの一人が歓迎の歌で出迎えます。

ここでは統合失調症などの精神障害があり、幻聴や妄想などに苦しむ人たちが、ソーシャルワーカーらと、ともに暮らしています。

月形刑務所の刑務官が「先手必勝で、殴ったもん勝ちっていう感じのスタンスの人が、やはり受刑者には多いですね」と話すとソーシャルワーカーの福岡拓弥さんがこう応じます。

「“べてる”でも、それは変わらないですね。そのことを爆発というふうに呼んでいます」

月形刑務所の職員が、『べてるの家』を見学するわけは、“当事者研究”と呼ばれる対話の手法を学ぶためです。

この“対話”という取り組みは、もう40年以上も続けられています。

『浦河べてるの家』メンバーの浅野さんはかつて自分がしたことについて「車がバァッと走ったんですよね。それで、もう腹立っちゃって…自転車をばって倒してしまったんですよね」と打ち明けます。

向井地生良理事長はそんなメンバーたちについて「やっぱり苦労が溜まってパンパンになると、アンテナが敏感になって、ちょっと誤作動的な感じになる…」と受け止めます。

『浦河べてるの家』で行われるのは、病気の“治療”ではなく“研究”です。

ひとり一人が、自分の病気の研究者となり、生活の中で現れた症状や、苦労したことを発表します。

向井地理事長が浅野さんに問いかけます。

「生活の中で、いろんな何か不信なことは、どんなことがありますか」

「うちの親がもう70歳で高齢になって、その後のことがわからないとか」

大切にしているのは、自身の病気をとことん掘り下げ、症状や苦労と向き合うことです。

それを隠すのではなく共有し、解決方法を話し合うことで、一緒に暮らしていくことを目指します。

「浅野さんにさらに尋ねたいことはありますか?」

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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