2025.05.14

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受刑者を「甘やかしているだけではないのか」刑務官の葛藤…“立ち直らせる”改革の今

新しい刑務所の在り方について、模索が続く中、ヒントとなる“対話”という取り組みが、北海道日高地方にある施設で、40年以上も続けられています。

連載「じぶんごとニュース

刑務官の葛藤「甘やかしているだけではないのか…」》

「本当にこれで合っているのか。これはただ甘やかしているだけじゃないのか、本当に彼のためになっているのか」

ある刑務官は、葛藤を打ち明けます。

受刑者を“懲らしめる”と書く懲役刑から、“立ち直らせる”拘禁刑へ―。刑務官の受刑者への接し方は、対話を重視した形に変化しています。

北海道の月形刑務所。刑務官の号令が、月形刑務所内に響き渡ります。

刑務作業の手を止め、移動する受刑者たち。
月形刑務所の第15工場では、月に1度、グループミーティングが開かれます。

刑務官が「自分の家族が同じような目にあったときどう思うか?」受刑者に問いかけます。

受刑者たちは「加害者がどう考えているのか聞きたいんだね」「被害者としては、加害者の気持ちを聞きたいと、なるほどね」などと意見を言い合います。

この日は“犯罪被害者の気持ちを考える”がテーマです。
受刑者たちの意見を、刑務官がさらに掘り下げる対話形式で進みます。

「被害者にとっての本当の反省だったら、加害者も自分の大切なものや大切な人、何かを失うべきだと思います」

そう話す受刑者に刑務官は「なんでそう思う?」とすかさず聞きます。

「被害者の気持ちに寄り添うからです」

「被害者の気持ちに寄り添って、自分も同じ目に遭えばいいと?」

「それが本当の反省だと思います」

月形刑務所が、この取り組みを始めたのは2024年2月のこと。
拘禁刑の導入に向けた、改革の一つです。
この改革に受刑者の1人はこう話します。

「今まで刑務官というのは、やっぱり受刑者に対して一線置いていると、違うものだと思っていましたけれど、同じ人間だったということを感じました」

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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