そして、この冬を締めくくるような大雪の日。
鈴川小学校最後の卒業生を送り出そうと、たくさんの人たちが集まっていました。
春から札幌に引っ越すことを決めている校務員の金井さんがこうつぶやきます。
「1年生の小さいときから6年間であんなに大きくなったんだ…。みんなこうして卒業してくんだ。いよいよこれが最後だ」
「卒業生が入場します」
体育館の扉が開き真ん中に敷かれた花道を、担任の松本教諭とともに卒業生の加藤愛己さんが、1歩1歩進んでいきます。
この1年、鈴川小学校で過ごした児童・職員の9人で歌う校歌も、きょうで最後です。
田中豊校長の式辞です。
「在校生の4人も鈴川小学校をきょうで卒業です。4月からは新たな気持ちで、愛己さんと同じバスに乗って、喜茂別中学校と喜茂別小学校へ元気に通ってほしいと思っています」
鈴川小学校最後の卒業生となった6年生の愛己さん。一緒に過ごした後輩たちへのエールは、お姉さん役をつとめてきた愛己さんらしい言葉でした。
「最後の1年をこの5人で過ごすことができてよかったです。喜茂別小学校に行っても一人一人の良さや、優しさを大切にしながら過ごしてください」
愛己さんの両親、担任の松本教諭のほかにも、在校生の保護者など多くのひとたちの目に涙が光っていました。
撮影を終え、私たち取材班が帰ろうとしていると、子どもたちが後ろから自然に集まり、見送ってくれました。
玄関先のベンチには、以前の取材の際に学校にプレゼントした「もんすけ」のぬいぐるみ。よく見ると、脇には紙粘土でつくった小さなバナナを持っています。
図工の時間に作ってくれたのだといいます。
「ありがとうございました~おきをつけて~」
「またね~」
鈴川小の子どもたちは私たちの姿が見えなくなるまで、手を振っていてくれました。
少子高齢化の中で全国的にも学校の数は減っています。
思い出の校舎がすでにないという人も多いかもしれません。
鈴川小学校の閉校後の校舎の利活用について、町教委は「関係者と協議し、模索していく」としています。
子どもたちからは「キャンプ場」「子どもだけの遊び場」「遊園地」などとの声がありました。
田中校長は「数年後に卒業生が訪れたときに、思い出が思い起こされる状態で残ってほしい」と話していました。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は取材時(2025年3月28日)の情報に基づきます。
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