2025.04.26
育む子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」、そして2児の母でもある、HBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)がご紹介します。
“日本のアンデルセン”や“日本近代童話の父”とも呼ばれた小川未明(おがわ・みめい)。
メルヘンな世界観でありながら、今の時代にも通じる大切なメッセージをさりげなく伝えてくれるので、いつしか私の心の教科書となっています。
現在では絵本として出版されている作品も多く、幅広い年齢層に親しまれています。
今回は、小川未明の絵本化された童話のなかから、特におすすめしたい3冊をご紹介します。
どれも 大人にこそおすすめの絵本 です。
小川未明は明治15年(1882年)新潟県上越市生まれ。
早稲田大学英文科卒業。
在学中に小説家としてデビューし、その後童話を意欲的に発表し続けました。
昭和36年(1961年)、79歳で亡くなるまでに1200点以上の童話を創作しています。
『赤いろうそくと人魚』や『月夜とめがね』、『野ばら』などが有名です。
それでは、おすすめ第3位~第1位の発表にいきましょう!
自分が王様だと思っているのは実はものすごく狭い世界であるということに最後まで気が付かないかえる。
かわいそうなのか、ある意味幸せなのか…途中から愛おしくも思えるほど純粋な蛙です。
絵・こしだミカさんは、生きものの持つしぶとさやあっけなさ、おかしみ、哀しみをカタチにしたくて、作品づくりを続けています。
大阪で身近な生きものを観察しながら暮らしているそうです。
蛙のことも、じっくりと観察しているのかもしれませんね。大胆な色使いとタッチが魅力です!
ちなみに……4月28日(月)あさ4時半から HBCラジオ『清かなる朗読』 で、堀内大輝アナウンサーが朗読します!後日、YouTubeでも配信予定。
繊細で柔らかな印象の物語。
闇夜を照らす月の光と、家の窓からこぼれる明かりが、幻想的な色彩で描かれています。
絵本の紙質も、作風に合わせてなめらかな手触りになっているので、実際に手に取ってみてほしい絵本です。
夢なのか現実なのか、真夜中の不思議な出来事に戸惑うおばあさん。
娘の別れが儚く、大人向けの朗読会で読みたい作品です。
なお、『月夜とめがね』は森田絹子アナウンサーが朗読しました。
YouTubeでぜひお聴きください。
小川未明の生きた時代を考えると、身近なところに戦争がありました。
そして残念なことに、今も世界のどこかで争いが絶えません。
『野ばら』は、“日本のアンデルセン”と呼ばれた小川未明らしいメルヘンな世界観とは違い、 現実世界で起こる悲しい争いと愛をテーマに、自分事として受け止められるように描かれた作品 だと感じます。
先日、長男の小学校の入学式で、校長先生が 童謡『一年生になったら』 についてお話ししてくれました。
「 ともだち100人できるかな という歌詞があるけれど、同じキャラクターが好きで、趣味も似ていてなんでも話せる友だちだったら、100人作るのはなかなか大変ですよね?違うクラスでも、同じキャラが好きじゃなくても、1回しか会ったことがなくても、挨拶しか交わしたことがなくても、違う国の人でも友だちだよねって思ったら、100人あっという間にできるかもしれませんね! 『こういう人が友だち』と、自分で決めなくても良いのではないでしょうか 」
このお話は、私の胸にも刺さり、そして、『野ばら』のストーリーとリンクしました。
絵を付けたのは、 旭山動物園の飼育係だったことでも有名な、旭川市出身のあべ弘士さん!
ということで、北海道民としては親近感も湧く絵本です。
『野ばら』は堀啓知アナウンサーが朗読しました。YouTubeでぜひお聴きください!
私はすっかり小川未明の作品の虜!
作品数も膨大なので、HBCラジオ『清かなる朗読』(毎週月曜あさ4時半~)では、たびたび小川未明の作品を朗読しています。
2025年4月は勝手に「小川未明月間」と称し、私は『赤い船』と『春が来る前』を読みました。
ラジオを聴けないという人も、YouTubeでいつでもお聴きいただけます。
ぜひ絵本はもちろん、 耳で聴く名作 もお楽しみください。
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文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
HBCラジオ「清かなる朗読」(月曜あさ4時30分~)、Instagramも更新中!
編集:Sitakke編集部あい
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