2021.10.06
ゆるむ札幌市円山動物園は、ことし70周年を迎えました!これを記念したSitakkeの連載、「円山動物園さんぽ」。
長く愛されてきた背景には、一度だけでは味わい尽くせない、見どころの多さがあります。「さんぽ」するように気軽に通うことで見つけられる、動物たちの深~い魅力をお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは「キリン」です。円山動物園にはキリンの「カップル」がいて、一緒に暮らし始めて1年が経ちました。キリンの恋愛・子育て事情とは?
円山動物園で2018年から暮らす、オスの「テンスケ」・5歳。去年9月、メスの「ユリカ」・3歳が嫁いできました。円山動物園は将来、テンスケとユリカの間に新たな命が産まれることを期待しています。
テンスケとユリカの関係性は、オリ越しにお互いのにおいを確認するなど、出会ったころから良好だそう。1年間、けんかもせずに過ごしているといいます。
飼育員の井本あゆみ(いもと・あゆみ)さんによると、群れで暮らす草食獣は、一緒に暮らす仲間が見えなくなると不安になるそうで、テンスケとユリカも、屋内と屋外を移動するときはお互いを確認しながら一緒に動くと言います。
どちらかというと、ユリカがマイペースに行動して、テンスケが気遣う傾向にあるそう。たとえば、ユリカがじぶんのエサもあるのに、先にテンスケのエサに手を出したときも、テンスケは怒らないそうです。
野生でのキリンの恋愛事情は自由で、一夫多妻のこともあれば、オスもメスも複数の相手がいることもあるそう。
子どもが産まれてからは、オスは育児に参加しません。メス同士で「保育園」のようなものを作り、子どもを1か所に集めておいて、母親たちは食事に出かけます。1頭が見張りに残ることもあれば、残らないこともあって、ここでも自由…。母親たちは栄養を蓄え、戻ってきてから子どもに授乳します。
母親から授乳されるのは1歳くらいまで。ユリカは今3歳で、繁殖はもう少し大きくなってからです。井本さんは、「成長に影響するので、安全に産めるように、4~5歳くらいまでは待ちたい」と話します。
井本さんは、「キリンは知名度の高い動物だけど、世間一般には、まだまだ知られていないことがあるので、じっくり見てほしいです。観察のポイントは、ずーっと『反すう』しているところ」と話します。
「反すう」とは、消化しづらい葉などを、一度飲みこんでから口にもどし、よくかんでからまた飲みこむことです。
キリンは一日中、夜もほとんど寝ずに、食べて「反すう」して、少し休憩しては、食べて「反すう」して、を繰り返しています。井本さんも、「人とは全然違う体のつくりだな」と感じ、見ていて面白いそう。
さらに「反すう」のときは、首が長いので、じ~っと見ていると、食べ物が上下する様子が外から見てもわかります。
特にテンスケは、食べ物を一度に口の中に戻す量が多いようで、頬をパンパンにするクセがあります。その姿には、こちらの頬がゆるみそう…。ぜひ円山動物園でじっくり観察して、その瞬間を見つけてみてくださいね。
次回ご紹介するのは、ユリカの約10分の1の大きさ・30センチほどの小さな動物。キスやハグでコミュニケーションをとる、愛らしい姿をお届けします。お楽しみに!
過去記事一覧:円山動物園さんぽ