2025.03.22

暮らす

「殺さないとダメ?」ハンターにぶつけた質問 クマに出会った新人記者が知った現実 『劇場版 クマと民主主義』

駆除で終わり、ではない

食事の風景まで撮影させてくれるようになったハンターたちですが、駆除のニュースが出ることへの不安も口にしていました。依頼されて駆除する立場なのに、ハンター個人に批判が来ることもあるというのです。
最初のころ、取材を嫌がっていたハンターの表情を思い返しました。

話し合うことで、初めてわかる思いがあります。
何も知らずに批判することには、怖さがあります。

『劇場版 クマと民主主義』

この騒動はクマの駆除では終わらず、政治の問題・民主主義の問題へと広がっていくのですが、その中でも住民や村の職員、村長、議員など、たくさんの方と話しました。たくさんのことを学びました。
率直な疑問を投げかける私に、向き合い、対話を重ねてくれた島牧村の人たちに、記者として・人として、育ててもらったと思っています。

全道各地のクマ出没を取材するようになり、人にできる対策も多く知りました。
「人もクマも傷つかないのが一番いい」という思いは変わっていませんが、だからこそ駆除を批判するのではなく、駆除しか選択肢がなくなる前に、すべき行動があるということを学びました。

放送局にいる立場で、まずはクマについての教訓や対策を伝え続けたいと、これまで7年、取材や発信を続けてきました。
クマ対策の草刈りなどに毎年参加し、対策や啓発のイベントを企画するようにもなりました。

札幌のクマ対策の草刈りで、等身大パネルを置いて効果を視覚化する実証実験を行った。見通しがよくなるとクマの侵入を防ぎ、ばったり出会うリスクも減らせる。白いTシャツの後ろ姿が筆者

今回の映画も、その続きの取り組みです。
日々の短いニュースでは伝えきれないことを、一人でも多くの人に知っていただき、じぶんごとにして考えていただきたいと思っています。

クマ対策は一人では前に進められません。私の活動の影響力はほんのわずかでしょうが、「知っていれば防げた」はずの出没や被害が、ひとつでも減ることを願っています。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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