2025.03.22

暮らす

「殺さないとダメ?」ハンターにぶつけた質問 クマに出会った新人記者が知った現実 『劇場版 クマと民主主義』

クマが駆除された日

2018年9月。胆振東部地震が起き、私は胆振の厚真町や札幌本社で過ごす時間が多くなっていました。

9月末、島牧村のハンターからの電話で、あのクマが罠に入ったことを知りました。

最初の出没から、ちょうど2か月。静かな村に、銃声が響きます。

『劇場版 クマと民主主義』

もう一度、「駆除しか選択肢はなかったのか」と、ハンターに聞きました。
カメラの前で、こう話してくれました。

「できれば駆除はしたくない。でも、今回のようなクマになると人間を襲う可能性は確実に高いので…」

「北海道ヒグマ管理計画」では、今回のように生ごみなどを荒らし、繰り返し出没するクマは、「問題個体」として確実な駆除を奨めています。
ハンター個人の感情ではなく、クマの様子や経緯から、北海道の計画に沿って、自治体が判断するのです。

命のその後に向き合うのも、ハンターです。

「ただ殺すんじゃなくて、殺したら、それを食べる」
「最初は抵抗があったけど、命をおいしくいただかないと」

村のハンターは、クマを捕獲した後、その肉を鍋にして食べます。

丁寧に解体され、きれいに切られて、冷凍庫に保管されていた肉。
煮込む間に部屋中に立ち込める、獣の匂い。
鍋を囲むハンターたちの、噛みしめ、味わう表情。

命を感じる一瞬一瞬に、毎晩のように顔を合わせたあのクマの表情が浮かびました。

ハンターに悪い印象を持ちながらも、「かわいそう」と思うだけで何もしていなかった私は、人の命にも、クマの命にも向き合っていなかったのだと、気づかされました。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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