2025.03.22
暮らす私が学んでいくのは、専門家の取材などを重ねてから次第にです。
当初の私は、「殺さないとダメなのか」と思っていました。その思いを、直接ハンターに投げかけました。
最初はインタビューを嫌がるハンターもいましたが、答えてくれた一人はこう言っていました。
「住民の人らが怖がっているから」
本当にそれしか選択肢はないのか…まだモヤモヤした気持ちを抱えていた私は、村に残って取材を続けました。
クマは毎晩のように現れました。住宅の庭を荒らし、小屋を壊し、海を走り回りました。
最初は草やぶから顔を出して様子を伺っていたクマが、目の前を走り、歩き…次第に行動が変わっていくのがわかりました。
海の中にいたクマが、ハンターが立つ住宅地の方向へと突っ切って進もうとした場面もありました。ほかのハンターらが一斉に大声を出し、クマを追い返します。
現場の緊張感は増していました。
ハンターは村の要請を受けて、連日の追い払いにあたります。
クマはきょう現れるのか、何時にどこで現れるのか、わかりません。
ハンターたちは日中はそれぞれの仕事に行き、夕方に集合して、村中にしかけた罠の見回りをします。日が暮れるとそれぞれの持ち場について、車の中から山のほうを見つめます。
クマが現れれば無線で連絡を取りあって追い払い、日付を越えたころ、クマが山へ帰ってくれたら家に戻ります。その瞬間にまたクマが現れて、未明まで追い払いを続けます。
そして早朝、また罠の見回り。それから仕事へ向かい、また夕方に集合します。
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