2025.03.24

深める

函館で最も有名な猫の親子。 |四・季・点・猫 − 未公開写真を含む冬の特別編 −

「当然寺を訪れる方々全員が猫好きではないので、寺としての立ち位置も慎重にならざるを得ないですし、地元の愛猫家や保護団体の方々に対しての目配せもある。そういう環境の中で、ずっと微妙な距離感で猫たちを見守っていた感じはあります。3年くらい前にNHKの番組(※NHK BSプレミアム『岩合光昭の世界ネコ歩き』)で大きく取り上げられてからさらに反響が大きくなって、いろいろたいへんなこともありました。でも写真の投稿を喜んでくれる人たちが大勢いるのはわかっていたのでやめることはできないし、やめたくもなかったんですよね」

ミケとトラは2021年の秋に地元の愛猫家に引き取られ、高龍寺の境内から姿を消した。

現在もさまざまな野良猫が毎日境内に姿を現すが、ミケとトラのように住み着くことはもうない。

「ミケとトラがいなくなって、寂しいという思いはもちろんあります。でも、人間でも同じですけど、特に野良猫の場合は今日会えたとしても、明日会えるとは限らない。ある日突然いなくなるなんてことは珍しくないことです。だからシャッターを切るときは、もしかするとこれが最後かもしれないという気持ちは必ずあったので、これだけ真剣に撮影できたんだと思います」

ちなみに未公開写真はまだ膨大にあるそうで、今回この企画に提供してもらった写真も未公開のものばかり。

「まだ何も決まってませんが、また写真展ができるだろうと勝手に思いながら写真を整理しています(笑)」

ぜひ次回の開催にも期待したい。

プロフィール

守永辰良/国華山 高龍寺・僧侶

大阪府出身。2001年から高龍寺の僧侶となり広報全般を担当。2/27〜3/2にパシフィコ横浜で開催されるカメラと写真映像の世界的祭典『CP+ 2025』にて、国内の有名な猫写真家たちと並んで作品を出展した。

***
『peeps hakodate』vol,133「写真は語る。」より

peeps hakodate

函館の新しい「好き」が見つかるローカルマガジン。 いまだ開港都市としての名残を色濃く漂わせる函館という街の文化を題材に、その背後にいる人々を主人公に据えた月刊のローカルマガジン。 毎号「読み物であること」にこだわり、読み手の本棚にずっと残り続ける本を目指して編集・制作しています。(無料雑誌・月刊/毎月10日発行)

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