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パティシエの堀貴志さんは幕別町出身。札幌の菓子店・イタリアンレストランに勤め、料理を学ぶ。2017年、十勝にUターンし現在の会社のuraniwa cafe(当時)にシェフとして在籍。同年パティシエとして一糸に移籍。
小学生の頃からお菓子作りが好きな男子だったという。クラスメイトに手作りのお菓子を振る舞い、高校生になった頃には女子たちと手作りのお菓子を交換するようになった。高校は帯広工業高校で建築を学んだ。「ものづくりが好きで、何かを作り続けていたかったんです」と話すのはパティシエの堀さんだ。
札幌の製菓専門学校に進学し、卒業後は札幌の菓子店を2軒ほど経験する。しかしそこで働く中で、自分のやりたかったことと菓子業界での働き方に齟齬が生まれ始めたという。菓子業界から離れるべく選んだのは札幌のイタリアンレストラン。初めこそデザートを担当していたが、次第に料理も学ぶように。
するとそれがまた楽しくなり、5年在籍していた中で最後は料理長を任せてもらえるほどになった。仕事への向き合い方やお客さんに対する意識はここで培われたという。「レストランでの接客は菓子店とはまるで違いますし、オーナーは常に新しいことにチャレンジする姿勢に刺激を受けました」。当時のオーナーのことは今も師と仰ぎ、現在の店舗にも遊びに来てくれるなど良い関係が続いているようだ。
イートインでは季節を感じる盛り付けでケーキを楽しめる。コーヒーも丁寧にハンドドリップ。
堀さんが結婚を機に十勝に戻ってきたのは2017年。初めは当時のウラニワカフェで料理を提供するシェフとして。その後半年ほどで、一糸でパティシエとして活躍することとなる。地元である幕別で大好きなお菓子作りの腕を振るう姿に、同級生や昔馴染みの人たちからは「夢を叶えたんだね」と声をかけられることも少なくない。
店のオーナーもシェフも地元出身のため、地元に恩返しがしたい、地域貢献型の店舗にしていきたいと全員が声を揃える。2016年の開店当初から意識してきたのは「地産地消」。地元のおいしいものを地元の人に食べてもらいたいという思いは、小麦や卵、乳製品に始まり、果物や野菜まで広がりを見せ、生み出されるメニューから年々強くなっているように感じられる。
取材している間もお客さんが途切れることなく訪れていた。聞こえてくるのは「散歩の途中に寄ったの」、「体調どう?」など、ご近所感あふれる会話。商品はもちろん、スタッフのことも「好き」と言って貰えるように、お客さんに愛される接客を心がけているという。「今後はイベントや料理教室なども開催してみたい。そうして地元の人が集まる場所になれば」と、堀さんは意欲的に語ってくれた。「人と人を、想いで紡ぐ、一本の糸になりますように」という思いで付けられた店名は、確かに縁の糸を紡いでいるのだ。
0155-66-7290
北海道幕別町札内中央町528-12
営 10:00~18:00(ランチ11:00~14:30L.O.)
休 木曜、第2・4金曜
Instagram@ito.niwa_cafe