食材の調達もまたしかり。肉も魚も野菜もすべて道南近郊のもので、時には付き合いのあるハンターがとってきた鹿や鴨を使い、誰かが釣ってきた海魚や川魚も日常的に手に入る。
「ほとんどの函館の料理人が思うことですけど、この土地で飲食店をやってて食材に困った試しがないんですよ」
笠原さんの話を聞けば聞くほど、いい食材が容易に手に入る道南という土地の環境そのものが、すでに“ご馳走”であることを思い知らされる。
今回の特集の裏テーマ「ビストロの定義」そして「函館はなぜビストロが少ないのか」という質問を笠原さんにぶつけてみると
「それって普段から僕自身も考えていること。なんで少ないんだろうって。こんなにいい食材がたくさんあって、レストランだってそれなりの数が揃ってるのに。ビストロっていいジャンルだと思うんですよ。レストランであればコースで出てくる料理が、単品で自由に選べて、好きなだけ食べられる。そしておいしいワインがそばにある。ワイワイやっても全然OKですしね。僕はお酒が相当好きだし(笑)、もちろん人がつくる料理も好き。ビストロは自分にとっては理想の場所ですよ」。
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