2025.02.14

食べる

食べたい料理と酒を自由に、好きなだけ、賑やかに。|改めて噛みしめる「ビストロ」というご馳走。②【函館】

80年代の函館で愛されたフランス料理の味

かつて、函館遺愛中学校・高校が建つ広い敷地の真裏にあったフランス料理店『ラ・メゾン・ド・カンパーニュ』(以降 メゾン)。1987(昭和62)年、函館どつく所有の旧外国人ハウスを改装して誕生したこの店では、オーナーシェフだった村井貞夫氏が自ら山へ行っては鴨を撃ち、川へ行ってはニジマスやヤマメを釣り、コース料理やアラカルトの食材に盛り込むスタイルがおなじみだった。
それだけでなく肉、魚、野菜は地物にこだわり、それらを使って“ご馳走寄り”のフランス家庭料理を提供。もし函館の洋食シーンの歴史書があれば、1980年代以降の項目にここの名前が確実に大きな太字で刻まれるに違いない。

そんな名店に高校時代から潜り込み、アルバイトとして働いていたのが本通のフレンチビストロ『HAKU』オーナーシェフの笠原秀友さんだ。小学生のころから料理人を志していた笠原さんにとって、メゾンの現場はあまりに刺激的で、あまりに楽しく、得るものも大きかった。

オーナーシェフの笠原秀友さん。ここ数年は高級貸切宿(バケーションホーム)からの依頼を受け、宿に出向いて宿泊客用の料理をキッチンでつくって提供する等、その活動範囲も広がっている。

「高校卒業後もそのままメゾンで働き続けて、トータルで5〜6年お世話になりました。あれから時間が経ってもう40代も半ばですが、自分がつくる料理も店のスタイルもいまだに影響を受けてますね」

その言葉通り、HAKUで提供される料理のほとんどが当時メゾンでつくっていたもの、またはその影響下にあるものだという。

「メゾン出身の料理人でいま自分の店をもってる方々は他にもいますけど、頑なにメゾンの料理を出してるのはおそらくウチくらいじゃないですかね(笑)。それくらい、僕の中ではメゾンの料理は忘れられないんです」

「オニオングラタンスープ」メゾン時代から続く冬の定番。付け合わせのバゲットは七飯町『こなひき小屋』から。

peeps hakodate

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