2025.02.12

食べる

フランスで知ったビストロの愉しみを、ここ函館でも。|改めて噛みしめる「ビストロ」というご馳走。①【函館】

笑う門には福来る。フレンチビストロ「キリゲリ」

9月の終わり、本町の一角に「BISTROT(ビストロ)」と書かれた黄色いネオンサインが控えめに、それでいて少し誇らしげに灯った。このほど新たに開業したフレンチビストロ『キリゲリ』。店名はフランス語で「笑う門には福来る」を意味している。

オーナーシェフの久末慎一郎さんは上ノ国町出身。仕出し屋を営む父親の影響で幼い頃から料理に親しみ、早くから料理人を志すことになる。
札幌の調理専門学校を卒業して東京・神宮前のフレンチレストラン『カム・シャン・グリッペ』に就職。その3年後にはフランスに修業へ出た。

当初はグランメゾン(実力や格式が最も高いとされるレストラン)で腕を磨いていたが、ある日プライベートで地方の街にあったビストロに足を踏み入れた瞬間から、久末さんの進むべき道が決まった。

「僕が認識していたビストロとはまったく別物でしたね。まず、肉も魚も野菜も食材は余すことなく使った伝統料理や個性的な料理が、安い値段で腹一杯食べられる。しかも大抵のビストロは朝5時とか早朝に開くんです。もちろん夜は夜でワインと料理をカジュアルに楽しむ場なんですが、朝は朝でこれから仕事に出かける人がフラッと立ち寄って、パンをかじりながらエスプレッソを飲んで新聞を読んだり、他の馴染みの客とサッカーの話なんかで盛り上がる。壁にはアパートの物件情報とか仕事の求人の紙がベタベタ貼られてて。あと、古いビストロの店主というのはその界隈のことは何でも知っていて、困ったらその人に聞けばOKみたいな感じだったり。もはや飲食店というより公民館というか、かなり開かれたパブリックな場所なんです。僕も最初はレストランとビストロの違いを料理で区別してたんですが、そうではなくて目的と使い方の違いなんだなって思いました」

2017年に東京・目黒で自身の店『キリゲリ』を開業。7年ほど営業して多くのファンを獲得しながらも、家族とともに地元・道南に戻ってきて同じ名前と同じコンセプトで本町に店を構えた。

「鶏白レバームース」東京時代に大ヒットした定番メニュー。絶妙な舌触りでノンアルコール・無添加。子どもでも安心して食べられる。そして何よりこのボリューム感に驚く。

もちろん料理は今まで通りコース料理はなくアラカルト一色。2〜3皿だけでもお腹がしっかり満たされる腰のすわったフランス料理を提供する、本場ビストロのスタイルを貫く。

「白子のムニエル ソースブールノワゼット」函館の冬の味覚・真鱈の白子のムニエル。焦がしバターソースを絡めて。

peeps hakodate

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