感謝される仕事がしたい。人とふれあう仕事がしたい。資格を取って安心して働きたい――
その思いを生かすために、介護の仕事に注目してみませんか?
近年、社会の高齢化が進み、介護の現場ではますます多くの人材が求められています。しかしながら、「体力が求められそう」「大変そう」といったイメージから、尻込みする人も少なくないようで、人手不足が課題になっています。
そこで注目を集めているのが「先端ロボット」の活用です。ロボットが得意な作業を担うことで、介護職員は「人にしかできないケア」に専念できるようになり、働きやすさとやりがいをさらに感じられるようになってきているんです。
今回、Sitakke編集部は、北海道主催の「介護のしごと2024職場見学会」(11月14日開催)を取材しました。誰でも無料で参加できるこの体験会で目にしたのは、人とロボットが一緒になって支え合う、北海道の新しい介護スタイル「Team KaiGO」。先端技術の導入で大きく変わりつつある介護業界の“大きな可能性”に注目です。
北海道「介護のしごと2024職場見学会」公式WEBサイトはこちら
小樽市民が信頼を寄せる「三ツ山病院」運営のサービス付き高齢者住宅。小樽入船公園に近い静かな丘の上に建ち、完全バリアフリー設計の居室には24時間対応のナースコールを完備。さらに、定期巡回・随時対応訪問介護センターアザレアデイサービスセンターや看護ステーションが併設され、医療・看護・介護の万全のサポート体制でご高齢の方々の安心で快適な暮らしを支えています。
見学先の施設「アザレア」館内に入り、最初に目に飛び込んできたのは…
なんともかわいらしいお掃除ロボットです!その名も「デコピン」。
「介護って大変、というイメージを持つ方もいるかもしれないですが、先端ロボットの導入により最近では体力的な負担は大きく軽減されています。この点をぜひ多くの方々に知っていただきたいです」と、統括責任者の園部競平さん。
「アザレアでは、現在5種類のロボットが介護の仕事をサポートしてくれています」。
道内でも早くから先端ロボットの導入に積極的な施設ということで、どんなロボットが活躍しているのか、1つずつ見ていきましょう!
ベッドから車椅子への移乗など、介護の現場では利用者さんを抱え上げる動作が多く、職員の腰や腕に負担がかかりがちです。そんな悩みを解決してくれるのが、この「Hug」です!
利用者さんは座ったままで足をステップに乗せ、Hugに体を預けます。職員が「立つ」ボタンを押すと、Hugがやさしく抱き上げ、そのまま車椅子のように移動できます。目的地で「座る」ボタンを押せば、利用者さんは安全に座ることができます。
Hug導入のメリットは非常に大きいと話す、園部さん。
「例えば、トイレ介助の場合、従来はベッドから車椅子、車椅子からトイレと何度も抱え上げる必要がありました。でも、Hugがあれば、一度乗ってもらえば、降りることなく用を足せるので、負担が緩和されます」。二人体制で介助していたケースでも一人で対応できたり、利用者さんにとってもしっかり支えられる安心感から体の強張りが和らぐといったメリットもあるそうです。これは画期的ですね!
次に紹介するのは、コミュニケーションロボットの「ぱるろ」です!
いろんな会話を楽しめるのに加えて、運動も得意で多彩なプログラムが搭載された「ぱるろ」。アザレアではお昼の口腔体操やレクリエーション、ゲームの進行役として活躍しています。従来、職員が行っていたプログラム内容を考える作業や、利用者さんの前で手本を見せる役割を「ぱるろ」に任せることで、職員は利用者さん一人ひとりにていねいに向き合う時間を増やせるようになったそうです。
「体操中にトイレに行きたいという利用者さんがいても、ロボットに任せられるので安心です。その場を離れる利用者さんがいても、職員に通知が届く機能があり、とても便利です」と園部さん。さらに玄関に配置すれば、訪問者を写真とともに知らせてくれる機能もあるとのこと!スゴい!
私たち取材チームも、「ぱるろ」の愛らしい声やコミカルな動きに、思わず笑顔になりました。癒しを届けつつ、実用的な機能も兼ね備えた「ぱるろ」。まさに頼れるロボットです!
3つ目の先端ロボットは、「aams(アアムス)」。ベッドのマットレスの下に設置する、見守り支援介護ロボットです!
各利用者さんの離着床や睡眠状態、体動、心拍、呼吸の様子をリアルタイムでモニタリングし、異変があれば即座に通知を送る機能が搭載されています。これにより、職員は夜間の見回りの頻度を減らしながらも、必要時には迅速な対応が可能になり、業務負担が大幅に軽減されます。夜間シフトの人数を減らすことも可能になったそう。
日中も、利用者さんの睡眠を妨げることなく、掃除や体位変換のタイミングを調整したり、生活リズムを把握したりするのにも役立っています。
訪室の合間もきめ細かな見守りができるのは、職員にとっても、利用者さんにとっても安心ですね! お互いに心地よい距離感を保てるのも魅力的だと思います。
4つ目は服薬支援システム「服やっくん」!利用者さんごとに複数ある薬を正しく管理し、服薬事故を防ぐためのシステムです。
使い方はシンプル。事前に服薬予定を登録しておき、実際に薬を飲む際には、職員の名札、利用者さんの名札、薬袋の3つにつけられたQRコードをスマートフォンで読み取るだけ。もし一間違いがあれば、その理由が画面に表示されるため、その後の作業もスムーズです。人違いや飲ませ忘れ、時間の誤りを防いでいます。
服薬業務を効率化し、人為的なミスを未然に防げるように仕組み化されているのは心強いですね!チェックにかける時間の短縮にもつながっているそうです。
最後に紹介するのは、入り口でお出迎えしてくれた掃除ロボット!「デコピン」という愛称で親しまれています。
「デコピン」は館内を自動で動き回り、床をキレイにするだけでなく、空気清浄機として空気の除菌もしてくれる優れもの。顔をつけたのは園部さんのアイデアで、「ロボットの印象を少しでも和らげたいと思ったんです。愛着を持ってくれたのか、目で追う利用者さんも多いですよ」と話します。「デコピン」は、癒しの存在として親しまれているようです。
介護ロボットの導入は国も推奨しており、導入を進める施設には補助金が支払われています。また、2024年6月から始まった「介護職員等処遇改善加算」により、アザレアでは職員の賃金が以前よりもアップ。「意外と高くなっているんだ! と思ってもらえるはずです」と園部さん。
また、介護ロボットの導入以降、20〜30代の職員が増えてきたそうで、「ロボットやITシステムの使い方の理解が早いので、心強いです」と話します。
現場で働く方々の声もご紹介しましょう。
お一人目は介護福祉士の若松恵さん。介護の仕事を始めたきっかけを聞きました。
「もともと別業界で働いていたのですが、子育てが一段落したタイミングでこの業界に入りました。おじいちゃん子・おばあちゃん子でしたし、資格を取得して手に職をつけたいと思ったのがきっかけです。やはり直接感謝の言葉をもらえるのがうれしいですね。最初は来るのを嫌がっていた利用者さんが『今日も楽しかったよ』と言ってくれると、この仕事を選んで良かったなと思います」。
同じく理学療法士介護福祉士で、デイサービスセンターのセンター長を務める森谷美穂さんは、働き方の柔軟さにも注目してほしいと話します。
「土日祝休みの施設もありますし、子育て中でも両立しやすいです。一方で、夜間までしっかり介護をしたいという方にも選べる働き方があるのがこの業界の魅力ですね。いろんなタイプの施設があるので、自分に合った場所を見つけてぜひ挑戦してほしいです!」
この日の体験の様子はこちらの動画でもご覧いただけます。
〜取材を終えて〜
ロボットが介護の現場に加わったことで、職員さんたちの負担が軽減され、その分利用者さんと向き合う時間が増えるーーそんな働きやすい環境が整っているのを感じました。
今回紹介したロボットがすべての施設に導入されているわけではありませんが、これからの日本には、こんな“進化する介護”がますます普及するはずです。 人の温かさと技術が融合した新しい形の介護、あなたも一歩を踏み出してみませんか?
北海道「介護のしごと2024職場見学会」公式WEBサイトはこちら
文:にの瀬
編集:Sitakke編集部 ナベ子
取材日:2024年11月
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