2024.12.26
深める—ストーリーの中で、思い入れのあるシーンはどこですか?
3話がすごく苦労しました。主人公の黒木が、元カレの稲葉に告白されるシーンなんですけど、それまでずっと黒木目線で描いていて、告白されるシーンも黒木側から描こうとすると、どうしても稲葉が胡散臭くなってしまうんですよ。どうカッコつけても胡散臭くて、もう10回くらい描き直しました。その都度、大森さんに送って、「やっぱダメですよね」って。
それで、思い切って稲葉目線で描いてみたんですよ。そしたら、それがスッとハマって。それから黒木と稲葉の目線を交互に入れ替えるような展開になりました。
—稲葉の裏の思いも知れて、あれがなかなか巧妙だなと。
それはうれしい!本当にかなり苦労しました。
―そういえば、稲葉ってよく「したっけ!」って言いますよね。
実は私の地元、茨城でも「したっけ」ってよく使うんですよ。意味合いも北海道と同じです。だからすごく馴染みのある言葉で、自然と出てくるんですよね。
―読者からの反響でうれしかったことは何ですか?
読者の方々がいっぱい共感してくれて、すごくうれしいんですけど、特に8話に出てくる40代の下着事情ですかね。ブラトップと骨盤ショーツみたいなことを描いたら、「私も!」とかいう声が多くて「一緒なんだ!」って喜んでます。コメントはいつも見ていて、とっても励まされています!
—最後に、この作品を通じて読者に伝えたいことは?
主人公たちは40歳なんですけど、私も10代の時は40歳ってもう完全な大人だと思っていたんです。でも実際に自分が大人になってくると、40歳っていろいろ我慢したりとか、立ち振る舞いとかは大人でも、中身の感情って案外そのままなんだってことが分かりました。「うれしい」とか「好き〜」とか心の中ってあまり変わらない。 そういうことを描いているので、いろんなところに共感してもらえたらうれしいですね。