2024.12.30
深めるそして、にしん漬けに欠かせないのが、身欠きにしん。
身欠きにしん にもこだわりがありました。
美智子さん:「本乾の身欠きにしんを使います。保存性の問題なんですね。本乾ニシンを使うっていうとこが絶対的なポイントとなってきます」
田中青果の造るにしん漬けは、保存料などは使わない「乳酸発酵」という、昔ながらの製法を守っています。
漬物本来の持つ乳酸菌の力を最大限生かす造りです。
美智子さん:「野菜を下漬けして出てくる水に、良い乳酸菌が生まれてくるんですね。温度管理をするから『本物の乳酸発酵』っていう工程で(乳酸菌が)生まれてくるんですよ」
美智子さん:「保存料で保存を高めるのではなく、自然の力で。手間ひまをかけるってことですね」
田中青果のにしん漬けのルーツは、二代目社長の祖母にあたる、本間ハマさんが造るにしん漬けにありました。
主に野菜や果物を扱ってきた田中青果でしたが、大手スーパー進出の影響で売り上げは激減。
青果店としての営業が難しくなってきたとき、祖母が造ったあのにしん漬けを造ったらどうかと提案したのは先代社長の常男さんでした。
欽也社長:「うちの親父いわく、うちのお袋のお母さん(祖母)の漬けたにしん漬けが何より美味しい。だからそれを作って売ってこいと言ったのが始まりです」
しかし、生きた乳酸菌を相手に、安定してにしん漬けを販売し続けることはとても難しいことでした。
欽也社長:「挫折ばっかりでね、なんならもう毎度やめようやめようって。明日辞めようと思ったことは何万回もありました」
欽也社長:「作っては食べて作って食べて、ものすごく時間かかって苦労しました」
まだ若かった田中さん夫妻でしたが、祖母の造ったにしん漬けの再現を決してあきらめませんでした。