多様な農業が盛んな、十勝平野の真ん中に位置する、池田町。
まちのシンボル「いけだワイン城」を中心に、半世紀以上にわたりワイン造りを続けているのが「十勝ワイン」です。「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」所長の南邦治さんにお話を伺いました。
品種改良と土地への適応を続け、北海道の厳しい自然と共に歩んできた「十勝ワイン」。南邦治さんは、ワイン造りへの思いを次のように語ります。
南邦治さん
「私たちのワイナリーは自治体経営であり、北海道に現存する最古のワイナリーです。本来、この土地はブドウの適地ではないのですが、ブドウを品種改良することによって、ワイン造りを続けています。夏は高温で雨も少なく、秋には夜温が下がります。十分に糖を蓄えて、酸も残したまま熟成が進みます。北国を代表するワインになるのではないかと自負しています」
池田町は、夏に最高気温が30度を越す真夏日がある一方で、冬には最低気温がマイナス20度になることもあり、寒暖差の激しい気候です。「十勝ワイン」は、耐寒性を備えた、ヤマブドウのオリジナル品種の開発に力を入れています。
主力の品種は「山幸(やまさち)」です。「山幸」は、池田町独自のブドウとして2020年に国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に品種登録されました。
南邦治さん
「当初から品種改良に力を入れてきました。現在では約2万1,000種を改良していて、その中から品種登録されたものは4つです。そのひとつ、『山幸』は池田町に自生するヤマブドウを人工交配させることによって、マイナス35度の寒さにも耐えられる特性を持ちました」
十勝ワインが最も力を入れている品種「山幸」。国際ブドウ・ワイン機構に日本のオリジナル品種が登録されるのは国内で3例目、北海道の独自品種としては初の快挙となりました。
「山幸」のワインは、「十勝ワイン」らしい酸味と力強い味わいが特徴で、お肉料理との相性が抜群です。
「十勝ワイン」は半世紀を超える歴史の中で、進化を続けてきました。
品種改良やワイン造りだけでなく、地域と共に歩む姿勢も特徴のひとつです。南さんは未来への展望について、次のように述べます。
南邦治さん
「ワイン造りは、100年を目指さなければならないと思っています。まだまだ折り返し地点です。これからもこの土地の風土に最適なブドウを育てていきたい。同時に、池田町のアイコン的な存在であり続けたいと思っています」
毎年ワインを楽しむイベントが行われ、大勢の観光客でにぎわう「十勝ワイン」。その魅力は、これからも北海道・池田町から発信され続けていくことでしょう。
名称:池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(ワイン城)
住所:北海道中川郡池田町字清見83-4
電話:015-572-246